40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

旅をする木

旅をする木 (文春文庫)

旅をする木 (文春文庫)

頬を撫でる極北の風の感触、夏のツンドラの甘い匂い、白夜の淡い光、見過ごしそうな小さなワスレナグサのたたずまい・・・ふと立ち止まり、少し気持ちを込めて、五感の記憶の中にそんな風景を残してゆきたい。何も生み出すことのない、ただ流れてゆく時を、大切にしたい。あわただしい、人間の日々の営みと並行して、もうひとつの時間が流れていることを、いつも心のどこかで感じていたい。


解説:幸福になるというのは人生の目的のはずなのに、実は幸福がどういうものか知らない人は多い。こうすれば幸福になれると説く本はたくさんあっても、そう書いている人たちがみな幸福とは限らない。実例をもって示す本、つまり幸福そのものを伝える本は少ない。つまり、本当は誰もわかっていないのだ。
この本で星野が書いたのは、結局のところ、ゆく先々で一つの風景の中に立って、あるいは誰かに会って、いかによい時間、満ち足りた時間を過ごしたかという報告である。実際のはなし、この本にはそれ以外のことは書いてない。



感想
アラスカでの日々を紹介する本。マンガ「働かないふたり」でこの本の存在を知った。ニートの兄が世界を旅した時、常に持ってその本を読み、心をニュートラルに戻したという。その本を軸にしていたから、好き勝手やれた、と。その紹介に惹かれ、是非読んでみたいと思ったんだよね。リタイア後には世界一周もすることだし。


実際、大当たりの本だった。一読しただけで胸に迫るものがある。心に浮かぶ思いがある。でも、まだまだこの本の全てを堪能できていないとも感じる。日々仕事に追われる中では、突き詰めて考えることも出来ない、と。いや、そこまで全力で働いているわけではないけどさ。リタイアした暁には、普段の生活とは異なる、もう一つの時間ってのを経験できるだろう。その時が楽しみだ。
星野さんは他にも本を出しているし、写真家として写真集も出している。それらも読んでみたい。