興亡の世界史 第01巻;アレクサンドロスの征服と神話
- 作者: 森谷公俊
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/01/18
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 12回
- この商品を含むブログ (13件) を見る
かつては、大王の遠征がアジアを一変させたかのように語られた。ペルシア帝国が滅び、大量のギリシア人が移住してヘレニズム文化が生まれたという叙述からは、一気に別世界が開けたような印象を受けた。しかし近年の研究は、そのような断絶よりも、むしろ連続性を強調している。つまり、大王はアカイメネス朝の統治組織を受け継いだので、帝国内の各地域から見れば支配者が交替したにすぎず、行政にも社会のあり方にも大きな変化は見られないというのである。
アレクサンドロスの登場以前から、ギリシア人は積極的に東方世界に進出していた。東方遠征は、それまで緩やかに進行していたギリシア人のアジア進出を加速し、ギリシア風の生活と文化の到達範囲を一気に拡大した。量から質への転化をもたらしたと言ってよい。
感想
久しぶりの歴史本。日経ビジネスオンラインに掲載されたアレクサンドロスについての記事を読み、興味を持って読んでみた。本当はもっと色々と歴史本を読んでいきたいんだけど、意識的に調整しないとすぐに偏ってしまうよなあ。まあ別に、それが悪いわけでもないんだけどさ。
興味を持った時代・国の歴史については、その部分だけを扱った本でピンポイントで読むわけだけど。それ以外の網羅しきれていない大部分については、学生時代に表面をさらっと撫でただけの知識がベースとなる。しかも、高校時代は歴史よりも地理がメインだったため、中学時代の知識で止まっているんだよね。
当然、知識も浅いし、それ以降研究が進んで改訂されている情報ってのもある。今回の本を読んで、アレクサンドロスやヘレニズム文化について、昔の情報に留まっていた自分を痛感させられた。おかげで、得るものの多い楽しい読書にはなったけど。
改めて、今現在の情報に基づく世界の知識をしっかりと構築したいと思わされた。「興亡の世界史」は全21巻のシリーズになっているし、とりあえずはこれを読み進めていこうかなあ。