2021-01-01から1年間の記事一覧
阿蘇山火口 今年もコロナ継続中。予想してはいたけど。結局、日本一周はおろか、九州一周も敢行することができなかった。 小康状態の時に、単発での旅行はすることができたけどね。 まずは、去年は規制のタイミングで行くことができなかった阿蘇山の火口。今…
2021年の読書を振り返る。去年37冊読んだのに対して、今年は139冊読んだ。冊数としては過去最高ではないけれど、読書時間としては過去最高になった。これは去年と同じく、骨太な哲学・批評書が多かった影響だろう。 ゲンロン関係とその派生で47冊、それ以外…
一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル (講談社文庫) 作者:東浩紀 講談社 Amazon わたしたちはいまや、ある人間がいつどこでなにを欲し、なにを行ったのか、本人が記憶を失っても環境のほうが記録している、そのような時代に生き始めている。 来るべき…
歴史修正主義とサブカルチャー (青弓社ライブラリー) 作者:倉橋 耕平 青弓社 Amazon 歴史修正主義の主張は学問のフィールドでは共感も評価も得ていない。他方で、歴史修正主義と親和性が高いのは、ビジネス系の自己啓発書、保守論壇誌、週刊誌、マンガなどの…
木のいのち木のこころ―天・地・人 (新潮文庫) 作者:常一, 西岡,三夫, 小川,米松, 塩野 新潮社 Amazon 鎌倉の様式には日本的な感性がありますな。日本人的というたほうがいいかもしれません。飛鳥や白鳳も美しいでっせ。大陸からの文化を吸収して、日本の風土…
日本の分断 私たちの民主主義の未来について (文春新書) 作者:三浦 瑠麗 文藝春秋 Amazon 外交安保リベラル票は、8%と一割を割り込む。立憲民主党がこの8%を共産党と分け合うことにはあまり意味がない。つまり、野党政治家が政権への怒りを表明したSNS投稿で…
新写真論 スマホと顔 (ゲンロン叢書) 作者:大山顕 ゲンロン Amazon 写真によって現在と過去を比べ、その違いを認識したり思い出に浸れたりするのは、スマートフォン以前のカメラでは撮れる量が限られていたからではないか。かつて写真は非常に限られたタイミ…
1年間の会員期間が遂に終了した。まあ、9月末には終わってたんだけど、会誌でもある「ゲンロン12」を読み終えて本当の終了、ということで。 入会した時に立てた目標に沿い、ゲンロン1~10までを購入し、ゲンロンの活動の最初から追っていった。ゲンロン本誌…
新世紀のコミュニズムへ 資本主義の内からの脱出 (NHK出版新書) 作者:大澤 真幸 NHK出版 Amazon (コロナ下での)株価の上昇は、「否認」のメカニズムが働いていることを示している。何が否認されているのか。破局の事実が、である。何の破局か。資本主義…
決定版 一億総ツッコミ時代 (講談社文庫) 作者:マキタスポーツ 講談社 Amazon 日本人の最近の傾向としてメタ的な人が多過ぎると思います。何ごとにも首を深く突っ込まず、冷静に事態を眺めている。引いちゃっているというわけです。一方で「ベタ」というのは…
ゲンロン12 作者:東 浩紀 株式会社ゲンロン Amazon 「訂正可能性の哲学、あるいは新しい公共性について」(東浩紀) ぼくはこの時代においては、なにかについて中途半端に調べ、中途半端にコミットすることの価値を積極的に肯定するべきだと考えている。ぼく…
豊かに生きるとはどういうことか。金が儲かるということではなく、色々なものの意味に満たされながら生きていくこと。意味とは理念でもある。なんでこの生活をしてるんだろう、なんで自分はこれを買ってるんだろう、なんでここに住んでるんだろう、なんでこ…
ゲンロン11 作者:東浩紀,安藤礼二,アレックス・イ・テックァン,石田英敬,伊藤剛,海猫沢めろん,大井昌和,大森望,大山顕,小川哲,琴柱遥,さやわか,武富健治,辻田真佐憲,中島隆博,速水健朗,ユク・ホイ,本田晃子,巻上公一,松山洋平,安彦良和,山本直樹,柳美里,プラ…
ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる (中公新書ラクレ) 作者:東浩紀 中央公論新社 Amazon ゲンロンカフェが大事にしているのは、「考える」という行為です。思考は誤配=雑談から生まれます。そして無駄な時間を必要とします。ひとはたいていの場合、まったく…
ゲンロン10 作者:東 浩紀 株式会社ゲンロン Amazon 「悪の愚かさについて」(東浩紀) 第一次大戦は人類がはじめて経験した総力戦であり、多くの人々が殺された。無数の人々が、集団的に、匿名的に、まさに「ゴミのように」殺された。笠井はその現象を「大量…
表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 (文春文庫) 作者:若林 正恭 文藝春秋 Amazon 俺は、ずっと自分の内面ばかりを覗き込んできた。自分の内面を隈なく覗き込んで一体どこに問題があるのかずっと探している。 欠落の構造を自分なりに理解した時に、こ…
ゲンロン9 第I期終刊号 作者:東 浩紀 株式会社ゲンロン Amazon 「パターンと対称性」(土居伸彰) コントローラーやボタンをいじりつつ、攻略サイトを眺めつつ、楽しい気持ちを感じるなかで、知らず知らずのうちに、宇宙まで存在を拡張し、その過程のなかで…
ゲンロン8 ゲームの時代 作者:東浩紀 株式会社ゲンロン Amazon 「メディアミックスからパチンコへ」(井上明人+黒瀬陽平+さやわか+東浩紀) 黒瀬:パチンコも孤独で、これらのゲームも結局は孤独ということですね。日本ではゲームはひとりでやるものだと…
ゲンロン7 ロシア現代思想II 作者:東 浩紀 株式会社ゲンロン Amazon 「接続、切断、誤配」(國分功一郎×千葉雅也×東浩紀) 千葉:いま、過剰流動化の不安を、多くのひとが大きな物語やイデオロギーに頼ることで解消しようとする構造がある。そういう強大な構…
ゲンロン6 ロシア現代思想I 株式会社ゲンロン Amazon 「受信と誤配の言論のために」(東浩紀) オタクは、というよりもすべての消費者は、反復を求める。オタクは、同じものが生産され、提供され続けることを求める。 ネットはそもそもが、受信ではなく発信…
ゲンロン5 幽霊的身体 株式会社ゲンロン Amazon 「記号から触覚へ」(梅沢和木+大澤真幸+金森穣+佐々木敦+東浩紀) 東:ぼくは芸術や哲学は、この世とあの世-死者や過去、もしくは来たるべき理想の世界-をつなぐインターフェイスであるべきだと思っていま…
ゲンロン4 現代日本の批評Ⅲ 作者:東 浩紀,浅田 彰,市川 真人,大澤 聡,佐々木 敦,さやわか,津田 大介,山口 二郎,杉田 俊介,五野井 郁夫 株式会社ゲンロン Amazon 「他の平面論 第三回」(黒瀬陽平) もともと人格を持たない日本の神々が、仏教の神々として再…
ゲンロン3 脱戦後日本美術 株式会社ゲンロン Amazon 「変身するリヴァイアサンと感情の政治」(パク・カブン) 今日の反応社会では、出来事への感情と反応を共有することが自立した行動綱領と化した。反応自体に反応する悪循環に陥り、出来事の意味=方向性…
国銅(上) (新潮文庫) 作者:蓬生, 帚木 新潮社 Amazon 感想 すごいものを読んだ。本の分厚さにちょっと気後れを感じていたけど、読み始めたら一気に引き込まれた。これは勢古さんの本「定年後に読みたい文庫100冊」でお勧めされていた本。 小説を読む気力がな…
2020年3月末にリタイアを達成し、今日で丸一年が経過した。環境や生活スタイルの変化等色々あったけれど、この一年を表現するなら、「満足」の一言に尽きる。 リタイアするにあたって一番の懸念点は、僕の孤独耐性がどれほどのものなのか、ということ。人生…
ゲンロン2 慰霊の空間 株式会社ゲンロン Amazon 「ダークツーリズム入門 第9回」(井出明) 遺構が存在し続けることは、記憶の承継にとって非常に重要な事であり、たとえそのレジティマシーが観光によって変容していたとしても、建造物としての価値は大きい…
自分探しと楽しさについて (集英社新書) 作者:森博嗣 集英社 Amazon 趣味は個人の自由であって、基本的に本人が楽しければ、真も偽もない、傍から文句を言うようなことは控えるべきであろう。ただ、である。「自分自身を入力する」タイプのやり方(コスプレ…
なぜ、だれも私を認めないのか (講談社プラスアルファ文庫) 作者:勢古 浩爾 講談社 Amazon 私たちが自分が何者であるかを人に証明し、人から認められようとすることは、それが過剰でも過少でもないかぎり、自分の人生においては生のもっとも根源的な動機とな…
それでも読書はやめられない: 本読みの極意は「守・破・離」にあり (NHK出版新書) 作者:浩爾, 勢古 NHK出版 Amazon わたしは本の世界に人より十年遅れて参入した。最初こそ自由意志で読みたい本を選んで楽しかったが、読書の世間的価値やしきたりにとっつか…
ゲンロン1 現代日本の批評 作者:東 浩紀,鈴木 忠志,大澤 聡,市川 真人,福嶋 亮大,佐々木 敦,安藤 礼二,黒瀬 陽平,速水 健朗,井出 明 株式会社ゲンロン Amazon 「グルーヴ・トーン・アトモスフィア」(佐々木敦) 世紀の跨ぎ目あたりを境として、表現とその伝…