40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

それでも読書はやめられない

わたしは本の世界に人より十年遅れて参入した。最初こそ自由意志で読みたい本を選んで楽しかったが、読書の世間的価値やしきたりにとっつかまってしまった。名作や名著や古典に縛られて窮屈な読書であった。だがそれは、読書に魅入られた者だれもが経験する、不可避的な不自由だったのかもしれない。「守破離」の「守」だったと考えればいい。

 

一応読んだ本にしても、当時もそうだったが、いまとなってはなにも残っていない。「残存率」はゼロである。ただ、読んだ、という記憶があるだけである。これは名著・名作にかぎらず、あらゆる本がそうである。
そしてそうであるからには、読んだか読まなかったか、あるいは読めたか読めなかったかのちがいは、ほとんどない、ということになる。本を読んでも、1ミリも成長の自覚がないのだ。
わたしは自分が何者であるかを自分自身に証明したかったのだと思うが(他人に証明しようとするよりは、マシだったが)、その根性をいまとなっては後悔している。しかし、成長するとは、後悔することではないか。

 

名著幻想が解体されるということは、自分自身の証明という愚昧から解放されるということだった。もう惑わされることはない。ほかにおもしろい本がたくさん待っている。そして、そのことだけがふつうの人間の読書においては大切なことである。

 

 

感想

おなじみ勢古さんの、2020年に刊行された本。また読めて嬉しい。僕にとって勢古本には外れ無しで、共感しかないからな。
この感想を書くにあたり、改めて「さらなる定年後のリアル」を振り返ってみたんだけど。アリリタした今だからこそより、勢古さんの言葉に共感させられてばかり。こういう人を発見できたのは僕にとってありがたいな、と思わされた。

 

本書の柱の一つは、勢古さんの読書の歴史の振り返り。読書の守破離。僕もこの道を辿ったな。そして、2014年11月のブログでの宣言は、「離」の宣言とも言えるけど。
勢古さんは「破」の段階を、30歳頃から20年過ごした。凄い。その間にも娯楽としての読書は続けていたとはいえ。僕も50歳までまだ9年あるんだから、まだまだ格闘してもいいのかもね。「離」の立ち位置からの、あまり負荷のかからない読書になりそうな気もするけれど。特に、日本の古典文学はまだまだなんで、早いところ手を出したい。

 

勢古さんが「近代日本の批評」を読んだ時の感想が、僕が「現代日本の批評」を読んだ時の感想と同じ感じで、笑えた。やっぱり勢古さんには共感させられるなあ。

 

そして本書のもう一つの柱として、おすすめ本の紹介。スゴ本、東浩紀さん周りの哲学本と並び、こちらも読書の参考として大いに活用させてもらおう。似た感性を持つ勢古さんの推薦ならば期待できそう。たくさん紹介してくれたんで今後が楽しみ。ここから、僕に強く響く本と出会えたらいいなあ。