定年後のリアル
- 作者: 勢古浩爾
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2009/12/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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もしかしたら人間は、自分の「幸せ」を永遠に気づかないのではないかと思う。もし今のわたしが「幸せ」な状態であるのなら、勤めていたときだって「幸せ」だったのである。「これからがほんとうの人生」などと言うが、そんなわけはないのである。今までだって「ほんとうの人生」だったのだ。
世間はいろいろなモデルを示してくれるが、結局気づくことは、あなたにはあなたの定年後(老後)しかない、ということである。ことは「定年後」にかぎったことではない。考えてみれば、これまでの人生だってすべてそうだったのである。有名になろうとなるまいと、成功しようとすまいと、つねにあなたの人生はあなただけの人生であるしかなかったし、現在もそうである。
年をとったら交流の場を広げよ、といわれるが、わたしはひとりでコツコツやっていく(ほうがいい)。やはり、みんなは生き生きとした、交友の広い定年後の生活をしたいのであろう。わたしはバーベキューなんかやりたくないのである。
孤独にひしがれるのが「人間」の自然であるなら、孤独をねじふせるのは「人間」である所以としての意志と思いたいのである。
感想
リタイア本、2冊目。著者は定年まで働いたわけで、僕が目指すアリリタとはまた事情が異なるのかもしれないけど。ただ、冷静な筆致というか、ちょっと斜に構えた文章が僕には心地よく、楽しく読むことが出来た。
アリリタのブログを読んでいると、当然ながらそれを肯定的に捉えているものばかりで。まあ、だからこそ目指すわけだし。でも、やっぱり一面からだけ見て、性急な行動はしたくないからな。反対側からの意見は参考になったし、本当に自分はそれを望んでいるのか、振り返る機会にもなった。
アリリタを目指すといっても、僕は別に現状に苦痛を感じているわけではないんだよな。職場の人間関係は良好だし、残業もほとんど無い。だからストレスもあまり無い。まあ、仕事内容が本当に自分に合っているか、ってのはあるけど。開発職に対する思いを3年前に綴ったことがあるけれど、これは今でも全く変わっていない。やっぱりこれが僕の本質なんだなあ。それほど意義を感じていない仕事を続けるのもどうなのかな、という思いはある。メリットデメリットを踏まえ、現状を維持しているけれど。
ある程度の金銭的目処が立ったならば、動いてみるのも悪くないかな。アリリタだけに限らず。その前に向こうから変化がやって来るというのなら、それはそれで悪くない。自分から動くとしたら、あと最低7年は欲しいと思ってしまうんで。案外順応性はあるほうだからな。
リタイア後の生活で一番気になるのは、僕の孤独耐性がどれほどのものなのか、ということ。一週間程度の期間であれば、誰とも接さなくても全然問題なかった。ただそれって、一週間という期限付きだからかもしれないし、実際には家族・友人との繋がりを保持しているからかもしれないし。老齢において、本当の孤独を経験した時、僕はそれを歓迎できるのか。どうにかして試せないものかなあ。駄目なら、ちゃんと手当てしたいんで。