千葉:いま、過剰流動化の不安を、多くのひとが大きな物語やイデオロギーに頼ることで解消しようとする構造がある。そういう強大な構造と闘いつつ、不安との別の向き合い方を考えたい。そのとき、無限の深みを持つ、いわゆる他者とはちがう他者、いわば「準他者」「半他者」と付き合うことがひとつの抵抗線になるのではないか。そのような回路を設定することで、なんとか自分自身の「持ち場」を仮固定し、大きな物語なしに主体性を成立させることができるのではないか。
國分:『暇と退屈の倫理学』では、一人ひとりが贅沢を大切にする生き方が重要だというのが、目立つほうの結論ですけれども、じつは最後のところでは、ひとは自分自身の贅沢を大切にできるようになってこそ、社会の問題に関われるようになるとも書いてあるんです。
感想
前号に引き続き、今号もロシア特集。そして相変わらず難しい。まあ、そのうち興味が再燃することもあるだろう。その際に再読しよう。
引用はしなかったけど「新しい目の旅立ち」。観光と哲学が交互に交わされていて、毎回唐突さを感じてしまう。でも、そうやって日常・観光から哲学が引き出される生き様はいいね。僕もそれくらい哲学を内面化したいもんだ。
他、批評再生塾第二期の優秀賞受賞論文も良かった。