40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

ゲンロン6

ゲンロン6 ロシア現代思想I

「受信と誤配の言論のために」(東浩紀

オタクは、というよりもすべての消費者は、反復を求める。オタクは、同じものが生産され、提供され続けることを求める。

ネットはそもそもが、受信ではなく発信ばかりを強化する技術である。ネットでは、人々は無限の情報を集めることができる。けれどもなにも受信しない。人々はかつて自分が読んだものと同じものしか読まないし、かつて自分が聴いたものと似たものしか聴かない。そして呟きを一方的に垂れ流し、世界中が注目することを夢見る。

20世紀の言論人の役割が発信と啓蒙だったとしたら、21世紀の言論人の役割は受信と誤配になるだろう。

 

「第四の政治理論の構築に向けて」(アレクサンドル・ドゥーギン)

進歩というイデオロギー自体が、その構造上レイシズム的である。現在は過去よりよくて価値があるという主張や、未来は現在よりさらによくなるだろうという信念は、過去や現在に対する差別であり、過去に生きた人々を貶め、先行世代の名誉と尊厳を傷つけるものだ。

自由はつねに混沌という、可能性に満ちたオープンな場と結びついている。個人に自由が与えられるのは、自由を使いこなすことなど個人にはできないからである。自由は個人というシステムとその秩序に閉じ込められたままだ。ここにリベラリズムの裏面がある。その深奥において、リベラリズム全体主義的であり、差異を許容せず、大きな意志の実現を許さない。リベラリズムが仲良くする気のあるのは小さな人間たちだけだ。リベラリズムが保護するのは、人権というより小さな人権、「小人の権利」である。

 

 

感想

今号の特集は「ロシア現代思想」。東さんが海外の思想を紹介する意義は分かる。「消費者が反復しか求めない」ってのは全くその通り。僕も今後の娯楽や情報の取り入れにおいて、その点を注視していきたい。ただ、僕にロシア思想は難しすぎたなあ。ほとんど自分のものとすることが出来なかった。結局、自分に引き付けた文脈でしか理解できなかった。今後時間はいくらでもあるんだし、少しはレベルアップしていきたい。

 

「第四の政治理論」の中で説明された「自由」。確かに自由の取り扱いは難しい。僕は自由に恐れを抱いてはいないけれど、現状、それを用いて何をしているかと言えば、単に遊びの時間が長くなっただけ。自分の枠は広がっておらず、反復が増えただけ。別に、世界を変えたいとか、他者に働きかけたいなんて希望は持っていないけれど。せっかく試行錯誤し自分の興味関心の幅を広げる・新発見する時間があるのだから、そっち方面の手当ても今後は行っていきたい。料理とか飲み物とか運動とか、ほんのちょっとだけ新しくなった部分もあるけれど。それらは以前にも興味があったものに過ぎない。今の自分では思いも付かないような、新たな分野に進出したいものだ。

 

ダークツーリズムは今号で最終回。毎回楽しかったので終わってしまうのは残念。現場でどれだけのものを感じられるか、得られるかは分からないけど、早く色々なところを観光したいものだ。