40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

ゲンロン3

ゲンロン3 脱戦後日本美術

「変身するリヴァイアサンと感情の政治」(パク・カブン)

今日の反応社会では、出来事への感情と反応を共有することが自立した行動綱領と化した。反応自体に反応する悪循環に陥り、出来事の意味=方向性を「立ち止まって考える」能力を失ってしまった。

 

「ダークツーリズム入門 第10回」(井出明)

フランス・カーンの平和記念館では、アウシュビッツ的な蛮行を日本がマレー半島において行っていたことが大々的に喧伝されているのである。マレー半島での虐殺に関し、日本人の保守派からは、中国本土への華僑による資金供給を断つための軍事行動だったという説明がなされることが多いとしても、少なくとも連合国の側には全くそんな言い訳は通用しないことがよくわかる。

心に留めておくべきことは、日本国内の保守派勢力が欧米植民地主義からの解放であると唱えた東南アジアへの進駐が、宗主国とその周辺においては、ユダヤ人虐殺と同じコンテクストで語られてしまっているという現状への認識である。

 

 

感想

今号のテーマは「美術」なんだけど、僕には骨太過ぎた。「美術」の価値や歴史的評価・展開などは認めているし、旅行時には美術館にも行ったりするけれど。そんな素人的な立場では、今号で展開される話には全く付いていくことが出来なかった。

批評において、文章で構築されるものだけでなく、美術や建築で表される思想・運動があるってのは分かるんだけど。未だ、僕の関心はそっち方面には育っていないことが確認できた。今は無理でも、いつかは理解できるようになりたい。

そんな僕がかろうじて得られた感想としては。美術史、その定義・解釈・運動の歴史。そこにも、人のコントロール欲求が現れているんだな、と。

 

反応社会についての話。これは韓国について扱った文章だけど、そのまま日本にも当てはまる。これは2014年に発表されたもの。そこで提示された懸念点は2021年の現在でも全く変わっておらず、むしろ深化している。懸念の表明も対処策の提示も、結局何の効力も持ってないってことだよなあ。これ、行き着くところまで行かないとどうにもならないことなのかねえ。それとも、AIによって制御されるようになるのか?コロナによって実体経済は大ダメージを受けているだろうし、世界のどこかで起きた政変なり戦争なりが全世界に飛び火しないことを祈るよ。

人はコミュニケーションを求める生き物だけど、その手段がここまで進化してしまうと、ここまでロクでもないことになる。過ぎたる技術。核なんかもそうかな。人に制御できる範囲には限界がある。それを見極め、賢く使っていかないとな。まあ、そうやって限界まで突き進まないと、技術の進歩は無いんだろうけどさ。

 

ダークツーリズムでの指摘は、相変わらず耳に痛いね。客観的であろうとして、僕もまた一方からの意見に囚われていたということ。これに限らず、多くの分野で同様の認識・理解はあるんだろう。色々な分野の知識に触れることで、少しでもそれらを取り除き、冷静な判断が出来るようになりたい。