- 作者: アービンジャーインスティチュート,金森重樹,冨永星
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2006/10/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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人間は、相手が自分のことをどう感じているか察知して、それに対して反応するんだ。たとえ同じ行動だったとしても、引き起こす反応は真逆のものになることもある。
人が他の人々にどのような影響を及ぼすかは、行動よりも深いところにあるものによって決まる。箱の中に入るか外にいるかが問題なんだ。箱の中にいると、現実を見る目がゆがんでしまう。自分自身のことも他の人々のことも、はっきりと見ることができなくなる。
箱の中に入ったままだと、相手のために何かをしてあげようという気持ちにならない。
箱の中に入っていると、自分が一番望んでいると考えているものより、さらに必要なものが生まれる。箱の中にいると、自分が本当に求めているものが見えなくなる。箱の中にいる自分が何よりも求めるのは、自分が正当化されること。自分が正当化された、自分が正しかったと感じるためには、相手が間違っていなくてはならない。自分の外側のものを責めるのは、自分自身が欠点を直し損なっているという事実を、正当化できるから。
自分のことを考え続けている限り、箱の外には出られない。箱の中に入っているときは、たとえ自分の行動を変えようとしたところで、結局、考えているのは自分のことでしかない。だから、行動を変えても駄目なんだ。本当は、箱の外側にあるものに抵抗するのをやめた瞬間、つまり相手に逆らうのをやめた瞬間に、自分が変わり始めるんだ。自分を正当化しようという考えや感情から解き放たれるんだ。
・人は自分の感情に背いたときに、箱に入る(自分への裏切りを正当化しようとするため)
・箱の中にいるときは、自分の行動を変えよう、新しいテクニックを使おうとしても無駄
・自分が人にどのような影響を及ぼすか、成功できるかどうかは、すべて箱の外に出ているか否かにかかっている
感想
ネットサイト「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」で2007年のお奨め本に紹介されていたのを見て興味を持った。Amazonで調べたところ、こちらもかなりの高評価だったため、購入を決定した。
僕としては、仕事を進めていく上での自分の能力やこれからの目指すべき行き先なんかに不安を持っているため、ビジネス書を読み漁っている。今回読んだような人間関係とか心の持ちようみたいなことについては、それほど悩んではいない。誰かとの関係がこじれているとかはないし。だから、こういう系の本はそれほど食指は動かされてこなかったんだけど、このサイト主さんはビジネス書に限らず幅広いジャンルの本をたくさん読んでいるし、そういう人が進める本にはそれなりの理由があるんだろうなあ、と思って。自分を広げるためには自分で自分を定義して枠を狭めるべきではないと思うし。というわけで読んでみたんだけど、読み始めたら一気に読みきってしまった。かなり参考になる部分が多かった。
特に、他人を人としてではなく物としてみなす傾向は、まさに僕そのものだと思った。これがつまり「箱に入っている」ということなのだ。悪くはないまでも僕の人間関係の幅が広がらないのは、ここら辺に原因がありそうだ。自分ではそれを周りに振りまいているつもりはないけど、周りはそれを敏感に感じ取っているものなのかもしれない。相手に関心がないからこそ、こちらから話しかけることをしないんだろうなあ。実際の行動うんぬんよりも、まずは僕の心の在りようを変革しなければならないようだ。この本の内容をじっくり考えてよく自分に当てはめ、改善を図っていきたい。なんで関心がないんだろう。自分に影響を及ぼす存在としての価値を認めていない、ということなのかも。他人なんかには固有の自分を変化させない、という傲慢さの表れなのかも。自分ひとりで生きている気になっている?幼い子供はまず、自分の所有物だ、という認識を持てなければ、相手に自分のものを貸すことができないらしい。僕も、確固とした自分を確立できていないから、相手を受け入れることができないのかも。今ようやく、一人の人間としてのアイデンティティーを確立しようとしているのかも。
ここ最近の僕の行動は、そのための過程の一つなのかもしれない。この行動の果てに、自分を確立し、他人を受け入れられる自分を手に入れることができたら嬉しいなあ。今の行動がそういう、価値ある将来に繋がっていることを望む。箱本の第二段も既に入手済みだし、そっちも読んでさらに考えを深めていきたい。