- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/02/07
- メディア: 新書
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ロングテール現象は既存のリアル大組織にとってどんな意味があるのか。「ネットを徹底活用しないならば何も意味がない」が正解である。そもそもロングテールの反対概念が、大組織を支配する「80対20」の法則である。この常識は、リアル大組織においては今も正しい。ネット世界とリアル世界のコスト構造の違いが、ロングテールに関する正反対の常識を生み出しているのだ。
感想
「ウェブ時代をゆく」を読んで、かなり面白かったため同じ作者の本を借りた。こっちのほうが前作になるので順番としては反対なんだけど。日本企業がIC、メモリといったハード(こちら側)で勝負しているのに対し、アメリカ企業はネットを介した情報やサービスといったソフト(あちら側)に重きを置いている、という見方はとても考えさせられた。
確かに、ハード部分は進歩が激しくて、どんどんと高性能な製品が登場してくる。企業としても設備投入を定期的に続けていかざるを得ず、一時的に市場を取ったとしてもそれが長く続くわけではない。収益面で脆弱だと思う。反面、あちら側のサービスとかシステムを整えて市場を握ってしまえば、容易には覆せない。日本の目指す方向が今のままで良いのか、とても不安になった。日本人は物作りが得意なんで、簡単に考え方を変えることができないんだろうか。このまま突き進んで、アメリカの下請けのような立場に甘んじるようなことになりはしないだろうか。でも、日本にもネットベンチャーが育ってきつつあるらしい。僕も、その成長を最前線で目撃できるよう、ネットの基本知識をしっかりと身に付けていきたい。