40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

愛するということ

愛するということ 新訳版

愛するということ 新訳版

人間が孤立した存在であることを知りつつ、まだ愛によって結ばれることがない。ここから恥が生まれるのである。罪と不安もここから生まれる。人間のもっとも強い欲求とは、孤立を克服し、孤独の牢獄から抜け出したいという欲求である。

愛とは、特定の人間に対する関係ではない。愛の一つの「対象」にたいしてではなく、世界全体にたいして人がどう関わるかを決定する態度、性格の方向性のことである。もし一人の他人だけしか愛さず、他の同胞には無関心だとしたら、それは愛ではなく、共生的愛着、あるいは自己中心主義が拡大されたものにすぎない。ところがほとんどの人は、愛を成り立たせるのは対象であって能力ではないと思いこんでいる。それどころか、誰もが、「愛する」人以外は誰も愛さないことが愛のつよさの証拠だとさえ信じている。これは誤りである。一人の人をほんとうに愛するとは、すべての人を愛することであり、世界を愛し、生命を愛することである。

誰かを愛するというのはたんなる激しい感情ではない。それは決意であり、決断であり、約束である。もし愛がたんなる感情にすぎないとしたら、「あなたを永遠に愛します」という約束にはなんの根拠もないことになる。感情は生まれ、また消えてゆく。もし自分の行為が決意と決断にもとづいていなかったら、私の愛は永遠だなどと、どうして言い切ることができよう。

愛するための必須条件
・一人きりでいられること
・謙虚さと客観性
・自分自身にたいする信念(自分自身の根本的な態度や人格の核心部分や愛が、信頼に値し、変化しないものとだと確信すること)
・能動性(退屈したり退屈させたりしない。思考においても感情においても能動的になり、一日中目と耳を駆使すること、そして、なんでも受け取っては溜め込むとか、たんに時間を浪費するといった、内的な怠慢を避けること。精神を集中し、意識を覚醒させ、生命力を高めること。生産的であること。)


感想
「スゴ本」サイトで紹介されていた本。「愛」について論じた王道的な本らしい。ハウツー本みたいなお手軽な内容じゃなくて、愛について色々と分析・考察した深いものだった。愛の理論編と習練編に分かれており、理論編で面白かったのは、成熟した愛と未成熟な愛について、親に対する愛と西洋・東洋で見られる愛との関連性について、習練編では、愛するための基盤として持っておかなければならない特質について、など。参考になる部分も多かったし、かなり興味深く読み進めることができた。
とくに、『愛とはそのなかに「落ちる」ような受動的な感情ではなく、「みずから踏み込み」、愛するべく決意し、そのための行動を起こす能動的なものである』、という主張には完全に同意する。実際、感情だけで長続きさせられるようなもんじゃないよな。そこが分かっていないから、今の世の中離婚が増えているんだと思う。
僕は常々、「僕は相手が誰であろうとも、愛することができるんじゃないだろうか」って思ってきた。「運命の人」なんてものは存在しなくて、どんな人だったとしても良い部分はあるわけだし、そこに注目すれば愛することができるじゃないだろうかって。愛することを決意すれば、その意志でもって結婚を継続し続けられる、って。もちろん、自分の側からはOKでも相手からOKって思ってもらえなければ継続できないわけで、そこのところの意見が一致する人とでないと成り立たないけど。
でも結局、「誰でもいける、誰でもOK」って考え方だったから、誰か一人に絞ることが出来ず、自分からは「誰もいけない」って状態に陥っているんだよな。相手からアプローチしてもらって、それをそのまま受け入れるって感じ。これって、この本で指摘されている「愛されているから愛する」という幼稚な愛なんだろうな。色々とヒントが貰えたし、少しずつ今の自分を変えていかないと。
今の僕に必要なのは、何にも増して「能動性」だろうな。以前の自分から比べれば結構改善されてきたけど、世間一般と比較してみると全然まだまだ。能動性ってのは、「人生を目一杯楽しむ」ためにも必要な要素なんだから、必ず獲得しないとな。行動のための試みをもっともっと加速させていこう。