- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2007/11
- メディア: 単行本
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物語は原子力発電所でのテロ事件からスタート。この本が書かれたのは2007年なんで狙ったわけではないだろうけど、僕が読んだこの時期にはすごくホットな話題になったな。
今回の話は、アメリカの9.11テロとその後の状況をネタ元にしてるんだろう。アメリカではテロ後、愛国者法が制定された。
・令状抜きで電話、電子メール及び信書、金融取引の記録を利用できる
・図書館の帯出記録や所得情報を含めて司法当局が調査できる
これは本の中の話ではなく、実際に進行していること。各種の権利や自由なんて、生命の危機に瀕すれば容易に踏みにじられてしまうもの。それが現実だよな。そんなアメリカが、物語の中で日本政府の表現の自由を奪う行為を糾弾しているのを見て、ちょっと笑ってしまった。「お前が言うな」って感じ。強烈な皮肉?多分そうなんだろう。まあ、日本だってそんなテロが起こればどうなるか分からないし、人のことは言えないけどね。
物語の中で、表現の自由の侵犯と戦うため、マスコミも一丸になって戦う。マスコミにこんな行動力があったら素晴らしいんだけど。まあ、現実には絶対に起こらないだろうな。世論におもねることしか考えないマスコミは、テロの脅威に対する世論の気持ちを受け取り、増幅し、表現の自由の侵犯を積極的に擁護するんだろう。
まあそれは置いておこう。表現の自由を巡る今回の騒動により、図書隊とメディア良化委員会の存在の見直しが進み、抗争にも改善が見られるようになったみたいだし、良かったな。図書隊にまつわる話も、これで一応決着ってところかな。
今作も堂上と郁の関係は甘甘だった。病院での告白シーンもいいね。その後まで描かれていたけど、番外編はどんな話になるんだろう。エピローグ前の話になるのかな。