40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

プリンセス・トヨトミ

プリンセス・トヨトミ

プリンセス・トヨトミ

感想
鴨川ホルモー」を書いた万城目さんの本4冊目。これも今年5月に映画化された。映像化されたのはこれで3作目か。すごい人気のある人なんだなあ。まあ、映画のほうは結構酷評されていたけどね。原作自体も設定の粗は多いんで、それも仕方なしって感じもする。
鹿男あをによし」の時もそうだったんだけど、今回の本には最初、あまり入り込めなかった。最初というか、中盤まで。読みやすいことは読みやすいんだけどね。それを、終盤の怒涛の展開で取り返すのも前作と同じ。これがあるからこそ読んでるって感じだな。前半部分も、もうちょっと何とかしてくれるといいんだけどな。
まず、主人公の男の子の性同一性障害。別に、そういう障害を抱えている人を非難しているわけではない。ただ、キャラ設定に当たり、そういう性質であることの必然性というか、意味を持たせて欲しかったというか。結局、何の意味もなかったよな。ただ単なる属性付与のためにしたのならば勘弁して欲しい。この話は、その部分を深く描くものじゃないだろ?安易に手を出すものじゃない。敬遠すべきものでもない、ってのは分かるんだけどさ。娯楽作品ならば、そういうところは考えて欲しいよ。
会計検査院がどういう仕事をしているのかが分かったのは興味深かった。でもそもそも、対立の相手は会計検査院じゃないといけなかったの?日本政府がこの現状に不満を持っていたようだし、大阪国と対決するのであれば、もうちょっとやりようがあったように思っちゃうんだけどなあ。大阪国側の戦い方が、国民が一堂に集って圧力をかけるだけってのもどうかと思うし。
大阪国の真実にしても。それが外部に漏れないなんて絶対にあり得ないし、伝達システムにしても粗がありすぎる。父親が死を覚悟した時に息子に伝えられるって、それじゃあ全大阪で立てないだろ。
なんか批判ばかりになっちゃったけど。最終的な読後感としては良かったんだよ。終わりよければ全て良し、じゃないけどさ。ただ、いつまでもその作戦じゃあ芸が無いし、次回作では幅も見せてもらいたいところだ。期待してるんで。