先送りできない日本 ”第二の焼け跡”からの再出発 (角川oneテーマ21)
- 作者: 池上 彰
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/05/10
- メディア: 新書
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中国の民衆にとっての現代史は、お上に従って多くの民が命を落とす一方で、お上を信用せず他人を信用しないで裏切った者が、結果的に生き延びられた歴史でもありました。いくら急激に経済成長して国際社会の仲間入りをしたからといって、骨身に染み込んだ人生観は、そうそう変えられるものではありません。
中国の国家としての挙動に違和感を覚え、中国人のモラルに驚くことがあったとしても、その歴史を知っていれば「中国人はけしからん」という発言にはならず、批判は中国の社会体制へと向かうはずです。
メディアの報道について
政治家や官僚を批判するのはたやすいこと。しかし、それが往々にして、批判のための批判になっています。批判するのはいいけれど、では、どのようにすべきなのか。それが見えないまま批判したところで、解決には結びつきません。
出て来るのは「政局報道」だけ。「政治報道」になっていないのです。今後の日本がどちらの道に進むべきかという政策に関する論争をきちんとわかりやすく伝えること。それが、政治家の資質を見分けることのできる国民を育てることになるのです。
感想
父の本棚より。色々な時事ネタを扱っているが、こういうのって時期を外すとあまり意味が無くなってくるんだよな。別に、問題は全く解決してはいないんだけど。でも散々報じられた内容なので、あまり新鮮味はなかった。まあ、きちんと内容をまとめてくれているので、論点を整理するのには良かったかも。
池上さんは、「韓国はアジア通貨危機の教訓から、農業をある程度犠牲にしてでも貿易による国づくりに舵を切るという国民的なコンセンサスが得られた」という。でも実際のところ、3/15の米韓FTA発効を前にして、反対運動もかなり盛り上がっているみたい。野党は、「政権交代したらFTAを破棄する」とか言ってるし。危機意識を国民レベルで共有し、農家への補償も充実させたというのに、この状況。これだけ条件を揃えても難しいのであれば、日本のTPP参加の難しさはそれ以上だろうな。コンセンサスも補償も不十分だし、反対を押し切っても進めるという政治家の決意や行動も不十分だし。それでも成立に向かって動くんだとしたら、いったいどんな裏があるというんだろう。なかなか面白そう。とりあえず、米韓FTAが今後どんな現象を引き起こすのか、注目してみるかな。
メディアについての池上さんの憂慮は本当にその通りだけど、それが解決するとは全く思えないな。まあ、それは他の問題にしても同じなんだけど。