- 作者: ダニエルカーネマン,Daniel Kahneman,友野典男,山内あゆ子
- 出版社/メーカー: 楽工社
- 発売日: 2011/03/01
- メディア: 単行本
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(直感的思考は、合計値ではなく平均値で判断する)
何かを同時に選択する際にあまりにバラエティを求めすぎることを指して、「多様性バイアス」という用語を作った。この用語は、逐次選択の方が経験効用が高くなるということを暗に示している。
たとえば、オーディオトラック二つを、逐次、もしくは同時に選んだ。同時に選んだ場合の方が、選択はバラエティに富んだ結果になったが、バラエティに富んだ組み合わせよりも、バラエティの少ない組み合わせの方が楽しみの度合いは大きかった。
満足の研究をする上で主要な謎の一つが、生活のほとんどすべての状況において、「変化」というものの影響が、報告される生活上の満足の中で比較的小さく、また影響を与える期間が短いということだ。
主観的な満足についてのまとめ
社会的厚生を最大にすることに関心のある人たちは、消費機会を増やすことではなく、社会的接触を増やすことに力点を移すべき。
人の満足を決定する要素として所得を重視する代わりに、その人の社会的地位に重きを置いた方がよい。(絶対的な差よりも、相対的な差)
生活上の満足は比較的変わることがなく、また適応も顕著だが、時間配分を変えることには影響を受け得る。
感想
行動経済学についての本。著者のダニエル・カーネマンは、この分野を世に知らしめた草分け的存在。とはいえ、この分野については既に何冊か読んでいるため、それほど新鮮味は感じなかったかな。幸福論の部分も。
そんな中でも、いくつか面白い部分はあったんで、読んで良かったとは思う。ピークエンドの法則とか。
多様性バイアスも面白い。バランスを取るよりも、好きなものに特化したほうがいいってことだよな。確かにその通り。一番以外を増やせば増やすほど、楽しさの平均値は下がっていく。色々なことに手を出したいと思っている僕としては、よく思いに留めておかないとな。
そうは言っても、現時点で一番だと思っているものが、本当に一番であればいいんだけど。自分の把握している部分の外に、さらに満足できるものがあったらもったいない。
まあ、そうやっていつまでも追い続けているのもどうかとは思うけどね。ある段階まで来たら、今持っているものの中で充実させることを覚えるべきだろう。とはいえ、まだもう少し試行錯誤の時間は残っているだろうと思ってるんだけど。