40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

イタリア人と日本人、どっちがバカ?

イタリア人と日本人、どっちがバカ? (文春新書)

イタリア人と日本人、どっちがバカ? (文春新書)

お互いがギブ・アンド・テイクの関係で成り立つこうした縁故関係を、イタリアでは「クリエンテリズモ」と言います。そしてイタリアの社会は、このクリエンテリズモをもとにした、無数のいわば「利権集団」の集まりから成り立っています。ほぼすべてのイタリア人がどこかの利権集団に入り込み、その恩恵によって、生活の中で生じてくる様々な問題を解決しているのです。
当然ながらこの利権集団は、政治の世界では最も重要な役割を果たします。イタリア政治のほとんどすべてが、こうした利権集団の構成員による「ロビー活動」によって動かされている、と言っても過言ではないでしょう。


ドイツとフランスの国民一人当たり国内総生産は、3万400ユーロ。イギリスは2万9600ユーロ。これに対して「中・北部イタリア」は3万737ユーロと、独仏英の各国をいずれも上回っています。それに対して、「南イタリア」は1万7866ユーロ。あのギリシャさえ下回っています。(2万1300ユーロ)
こうして統計で見てみると、南北イタリアの「経済格差」がいかに歴然として大きいかを、よく実感することができます。


日本にも、深刻な問題、このまま放置すれば、国を滅ぼしかねない問題が、山積しています。そして多くの人が、それを解決しようと努力するどころか、問題の存在すら知らずに、テレビのバラエティーなどを見ながら、ヘラヘラと笑って、平気で日々を過ごしています。イタリア人の場合は、さしずめ「空回り型バカ」、日本人の場合は「思考停止型バカ」といったところでしょうか。


今日の嵐は、今この国が、経済と、そして何よりも政治と「モラル」に関する「非常事態」にあることの象徴であるように思われます。それは「金銭による癒着」と、「現状維持志向」、そして社会の様々な事柄に関する「悲観主義」です。



感想
「乗り移り人生相談」の島地さんがお勧めしていたので読んでみた。この本で、イタリアの現状について、また日本との共通点について、よく分かった。イタリアについては、「ローマ人の物語」なんかの塩野さんの一連の著作によって、ローマ時代や、ルネサンス期についての知識はそれなりにあるけど。現代については手付かずだったからな。色々と知らなかったことが分かり、楽しい読書になった。


一番興味深かったのは、現代にも「クリエンテリズモ」という関係があるということ。ローマ時代にも、有力者を支え、代わりに保護してもらう「クリエンテス」が存在した。ローマの消滅とともに、無くなった制度だと思っていたのに。まさか、現代にも存在しているとは。ずっと存続してきたものなのか?
それにしても、ここまで国民性というものは根深いものなのかね。日本人が変われないのもそのせい?やっぱり、安易に外の文化・制度を輸入するのではなく、自国民に合った形で問題に対処していかないといけないんだろうね。


「イタリアの食文化の豊かさは、人々の絶えざる工夫と努力によって生み出されてきたもの」という記述があったけど、日本の食文化の豊かさも同じなんだよな。そして、色々な補助を最小限にすると、そういうのも全て衰退させてしまう結果になるのかもなあ。食に限らず。文化を守るのも、国の重要な役目。国民も、安易に効率化やコストカットばかりを求めると、失った後に後悔する羽目になるんだろうな。


あと、「イタリア人は、問題に慣れっこになって、何百年もかけて、そんな状況の中でもうまくやって行く方法、サバイバルのやり方を学んできたけど、日本人には、それは難しいかもしれない。いや、不可能に近いんじゃないかな。」なんて記述もあった。
この意見はどうだかね。日本人にだって危機に耐え、克服してきた歴史はあるし、そんな心配をしてもらわなくても結構。とはいえ、自殺者の数を言われてしまっては、反論できないのかもしれないけど。それもまあ、国民性なのかなあ。