評価と贈与の経済学
- 作者: 内田樹,岡田斗司夫 FREEex
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2013/02/23
- メディア: 新書
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何かに熱心になったり、熱く生きることに対して憧れはあるんだけれど、下手に熱くなると利用されるだけだから、上手く熱くならなきゃダメだっていう縛りのなかでもがいている。うまく立ち回らなきゃダメだっていうことが、余計に彼らの選択肢を減らしている。
あと一年か二年したら、迷う人はみんな仏教にいっちゃうんじゃないかって気がします。宗教に関する信憑って、信じるプロセスのどっかで叩かれる可能性が一番少ないということなんだと思います。
神秘的な世界で、個人的な日々の生活と達成目標の間の相関が見えないっていうのがむしろ受けるんだろうね。仏教の修行なんか、なにが達成目標かわからないからね。個人的な努力と報酬の相関が他人には見えないところに惹かれるのって、わかる。それだと欲望の尻尾をつかまれないからね。
リアクションこそが自分ですよと。根源に欲望があると思われたら生きづらくなるから、欲望を消してリアクションだけで生きていくことを選んでいる。欲望がないからリアクションしかすることがない。
感想
内田さんと岡田さんの対談本。内田さんの本は昔よく読んだし、岡田さんの本は今色々読んでいるし。その両者が対談した本が出るってことを岡田さんのニコ生で知り、一も二もなく購入した。聞いた時は、この両者が繋がるとは、とびっくりしたな。性格的にも思想的にも、全然接点のなさそうな二人だから。まあ、内田さんは「街場のマンガ論」って本も出しているし、そこら辺はちょっと繋がるのか?
そんなわけで、どんな話が展開されるのか楽しみにしながら読書したけど、さすがはこの二人だね。対談慣れしてるってのもあるんだろうけど。ここまで土台の違う二人でも、お互いの共通点を探りながら話を組み立てていくのは凄い。目指す先が似ているという決着点はあったにしても。こういう能力、素直に羨ましいよなあ。
若い男子が草食化する理由ってのにはかなり納得できた。僕自身にも当てはまることだったので。利用されないように、操作されないように、ってのは僕も強く思っていることだからな。これも低体温の原因の一つだろうね。
そういう人たちが仏教に行くんじゃないか、という意見にはびっくりした。宗教なんて、最も基盤があやふやで不確かで、不安定なものだと思っていたから。まあ、今まで調べた範囲では、仏教が一番理論がしっかりしているようには思うけど。でも結局、何の確証もない話で、最後は「ただただ信じる」ことに尽きるわけだからな。僕には選べない道だ。
でも考えてみると、論理じゃないからこそ反駁のしようもない、とも言えるのか。感情に対しては、論理で何を言ったって無駄。そういう実例はこれまで何度も見てきたし。なるほどねえ。奥が深いなあ。
その他のテーマの内容も面白かった。対談ってのは、その場の話の流れを重視して内容が深まらないって印象があったけれど、なかなか良かった。