オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)
- 作者: 岡田斗司夫 FREEex
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2012/09/28
- メディア: 新書
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幸せとは「不幸の回避」ではなく、「乗り越えるのが楽しい不幸」だと思います。
不完全なものでも「はい、できあがりです」と渡すのがプロだ。プロとは「納得できるものだけを出す」のが仕事じゃない。それは芸術家だ。そんなきれい事を言うヤツは、単に「納得できる」レベルが低いだけだと思う。プロとは「納得できなくても締め切りを、約束を守ること」だ。
「制限の中でベストを尽くす」「出来に納得できなくても、少なくとも堂々と人前では胸を張る」。それがプロとしてのプライド、矜持だ。
「原発がなくてもいいじゃないか、もう一度貧しくても美しかった国に戻そう!」という主張は耳には心地よいんだけど、「貧しくても美しい」と「弱者の切り捨て」はニアリーイコールになりやすいことを忘れてはいけない。
身体弱者、心の弱者が生きるには社会的コストもかかるし、社会の景気が良くないと、あっというまに見捨てられる。そして現在は、どう見ても日本の景気はかつてのバブル的繁栄はもう夢、つまり「弱者をこれ以上保護できない社会」に移行しつつある。
感想
岡田さんの本、第七弾。岡田さんが朝日新聞で連載している人生相談の舞台裏を公開する本。回答に使用している思考ツールとか、どういうことを思いながら回答したのか、なんかを明かしてくれる。
この本は、「悩みのるつぼ実践講座」という講演がベースになっている。その動画が一時期ニコ動で無料公開されていたことがあり、その時に見ていた。だから重複する部分も多かったんだけど。活字として読むことで、じっくりと考えることもできたんで良かった。
この本を読んでいても感じたけど、やっぱり岡田さんの視点ってのは、客観的で冷静、俯瞰的。人生や世界の本質を見つめつつも、それに上手く対処している。現実的な思考と、楽観的な思考を両立させている。前にニコ生で、昼は橘玲(悲観的)、夜は内田樹(楽観的)って言っていた。これには大納得。僕もそう在りたいと思っているので、参考になるし、共感も出来る。
でも岡田さんが僕と違うのは、自己完結・自己満足で終わらず、人と関わることを望み、世のため人のためになりたい、役立ちたいと考えられるところ。人生相談に対し、本当に親身になり、愛のある回答を返しているもんな。僕だったら、一言でばっさり斬ってしまいそう。こういう面にも、惹かれているのかもな。