40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

朝鮮半島201Z年

朝鮮半島201Z年

朝鮮半島201Z年

あとがき
中国と数千年間も直に向き合ってきた朝鮮半島の人々が、再び台頭した巨大な隣国の勢力圏に心ならずも戻って行く。それは日本にも死活的な影響を及ぼす。
はじめはノンフィクションで書こうとした。だが、すぐにその難しさに気付いた。朝鮮半島に差し始めた中国の影をいくら丹念に集めて記しても、日本人に我が身のことのように実感を持って読んでもらうのは容易ではない。そこで記者としてははなはだ邪道ながら「朝鮮半島に近未来に吹き荒れる中国台風」をフィクションとして描いた。ファクトを踏まえた上での思考実験だから、現実がこの小説にたまたま似てくることもあるだろう。ただ、本当に読んで欲しいのは「近未来」部分よりも「なぜ、その未来が起こりうるか」を述べた「現状分析」のくだりである。



感想
日経ビジネスオンラインの「早読み 深読み 朝鮮半島」って連載が面白いので、この人が出している本を読んでみた。新作も出ているので、今度図書館で借りられるようになったらそっちも読んでみよう。


本作は、朝鮮半島の現状を踏まえ、今後を予想した近未来小説。2010年発売のため、その時点からは色々と事態が動いてしまっている点もあるけれど。でも、中国・韓国・北朝鮮が持つ固有の性質みたいなものはリアルに感じることが出来た。あと、揺れ動く国際政情の忙しさ、読みの難しさも感じた。やっぱり政治ってのは大変だなあ。
事態はどんどん移り変わっていく。それぞれの思惑があり、それらが互いに影響を及ぼし、しかもプレイヤー数は膨大にいる。実りは少ないけど、放置するわけにはいかない。部外者からは計り知れない、様々な労苦があるんだろうな。傍から見ている分にはなんとだって言えるけど、そうした中で奮闘してくれている人たちは応援しないとな。頑張ってもらいたい。


本作の描く将来。事実を基にしているだけあり、既に現実になっている部分も多い。北朝鮮が核を持つことで強気になったりね。韓国との休戦協定の白紙化とか、核の先制攻撃だとか言ってるし。まあいつものことと言えば、そうではあるんだけど。
でも、一度始まれば、一気に情勢は動くんだろうな。本当、どうなっていくんだろう。ちゃんと関心を持ち続け、情勢を追っていきたい。