40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

評価経済社会

評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている

評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている

「どんな時代でも人間は、豊かなものをたくさん使うことは格好よく、不足しているものを大切にすることは美しい、と感じる」
未来を予測しようとする際に、最も大事なのは「今の時代と未来では、どんな価値観の違いがあるか」ということをはっきりと見極めることです。ある時代のパラダイム(社会通念)は、「その時代は何が豊富で、何が貴重な資源であるのか」を見れば明らかになる。


「みんなが豊かになれる社会」という近代の正体が「どれだけ豊かになれるか競争すること」だったように、新しい社会でも競争はなくなりません。新しい社会の競争、それは「どれだけ有名になれるか」「どれだけ高評価を集められるのか」です。


評価経済社会では、豊富にある価値観や世界観、つまりイメージから何を選ぶかというのが最大関心事になります。そして人々はお互い、どんなイメージを選んだかで相手を値踏みするわけですね。そして、同じ価値観を持つ者同士がグループを作り出します。
様々な価値観があふれる中で、自分の気分や状況、立場、好み等々によって、いくつかの価値観を選択すること。そして、同じ価値観のグループに参加すること。そうすることで、自分の中に新しい人格をつくって楽しむこと。これこそ評価経済時代の醍醐味といえます。


近代人が様々な店に行って必需品を買いそろえるように、これからの人々は様々な価値観やセンスを持つ様々なグループと接したり、ネットで話したり、テレビで見たり、本で読んだりすることで、自分の心に必要な喜怒哀楽を取りそろえるのです。



感想
岡田さんの本、第五弾。岡田さんが提唱している評価経済社会について。岡田さんのこの話は初めて読んだけど、似たようなことは橘玲さんも言っていたな。「評価社会」って。まあ、既に一部現実になっているものでもあるしね。
「どんな時代でも人間は、豊かなものをたくさん使うことは格好よく、不足しているものを大切にすることは美しい、と感じる」っていう原則は面白い。モノが溢れる時代から、情報が溢れる時代へ。この流れは確定だろう。今後それが加速していくと、どんな変化が現われるんだろうな。


僕も情報を駆使するのは好きなので、新しい時代への親和性はありそう。でも、それに取り込まれるのは避けないとな。今の僕が持っている、モノを追い求めることへ感じる抵抗感というか、一歩引いた感じは、情報に対しても持っていたい。
まあ既に、ツイッターフェイスブックからは多少距離を置いているけれど。日常を人に晒して、何が楽しいんだろうって。そこまで承認が欲しいか?本当に親しい人ならばいいのかもしれないけど、ああいうところの繋がりにも濃淡があるわけで。僕には考えられない。今は情報化社会への過渡期だし、今後、自分の情報を適切に管理するシステムが出来ていくようになるんだろうな。


この本を読んでいて思ったんだけど、岡田さんの言う、価値観を使い分けることと、多くの評価を獲得することって、矛盾しないか?価値観が多様化し、相対化されていく世の中では、大きな評価を得ることは難しくなっていく。その獲得を目指すのは、不毛なような。より多くの価値観グループを渡り歩く人が、より多くの評価を得るってこと?それは無いんじゃないかなあ。自分と合わない価値観をたくさん持っていたって、それを評価はしないだろう。

それに、物理的な豊かさとは違って、「評価」には客観的な指標って無いし。繋がっている「人」や「いいね」の数は、一つ一つの価値が同一ではないし、そもそも、「これで価値を測定する」という価値観の一つにしか過ぎない。その価値観を持つ人たちと繋がるだけで、それ以上の評価を獲得することは出来ない。


まあ、今後本当にどうなっていくのかなんてのは分からないけどさ。前時代の価値観が今の僕たちには理解できないように、これから来る価値観は今の僕には受け入れられないし、予測することも出来ないのかもな。どんな時代になったとしても、それを楽しめるといいなあ。