40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

なんでコンテンツにカネを払うのさ?

なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門

なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門

野球がうまい奴なんてそこら中にいます。野球だけで食えている人なんてほとんどいないんですよ。
じゃあ、コンテンツの創作はどうなのか?マンガを描ける、楽器を演奏できる、小説を書ける、その程度の能力で、飯を食っていこうというのかと。うまいだけなら、趣味でやっていけばいいんですよ。
日本中の全クリエイターを合わせて、創作収益だけで食えるのは1万人でいい。その周辺には10倍、10万人くらいの、コンテンツ収益だけでは食えないクリエイターが存在するはず。クリエイターの規模はこれくらいでいいと思うんですよ。


出版業界の市場規模は雑誌を含めて2兆円近くはありますが、もし流通の主軸がすっかりネットに移ったら、10分の1くらいまで簡単にシュリンクしかねない。仮にそうなったとしたら、今出版業界やその周辺で働いている10人のうち9人は職を失うことになる。そうなった時、果たして面白いマンガ文化は維持できるのかどうか?コンテンツを支える周辺部分が産業として成り立たなくなった時に何が起こるのか、これまでの豊かな出版文化を思うにつれ、怖いなと思います。


さっき出版産業を例にとって10分の1になるといいましたが、これは出版などコンテンツ産業だけの話じゃありません。「あらゆる産業」の規模が10分の1になるんです。
新ビジネスでは一握りのスターが生まれるけれど大勢が失職するという悪夢の世界。



感想
岡田さんの本、第三弾。ニコ生で見ても結構面白い人なんで、これからちょっと色々と漁っていこうかな、と。この本もなかなか面白かった。著作権の概念・精神について学べたし、今後の有様についても考えられた。岡田さんの描く未来には、ちょっと極端なものも混じってたかな。まあでも、本当にどうなっていくかは分からないからね。


コンテンツで食べていくことについての話。今はネット社会の進展で、個人が作品を発表する場が増えた。それに、無料の効果ってのは大きいからな。たくさんの人が見てくれるようになるってのは分かる。ただその動きも、アマチュアがプロになる道を開くよりは、プロをアマチュアに落とす効果のほうが大きいように思う。
今後、創作で生きていくためには、膨大な量の佳作の中から抜きん出る必要がある。お金を払ってもいいから見たいと思わせるだけの圧倒的な実力と差別化を備える必要がある。めちゃくちゃ厳しい世界だよなあ。まあ、楽しむ側としては有難いことなんだけど。


ただ、コンテンツ産業の全てがシュリンクしていくのは勘弁して欲しいところだよなあ。音楽や絵ならばいい。個人の才能だけで勝負できる世界だし、趣味で作ったものの中にもプロを凌駕する作品はあって、それを楽しむことができる。本もそうなっていくかな。
でも、人数・お金・時間をかけないと作れないジャンルもある。映画、ゲーム、アニメ、等。こういうのは、アマチュアに足を引っ張られないで欲しい分野だなあ。やっぱりアマチュアとプロとでは、質に雲泥の差があるからな。現時点では。でも、この部分に関しては、アマチュアの台頭という問題だけではないのかもしれない。他の娯楽との競争。娯楽に費やす金額の減少。大作よりお手軽を求める、大衆の嗜好の変化。
時代の流れに逆らっても仕方ないけど、僕としては、質の劣化だけは回避してほしいなあ。安かろう悪かろうなんて求めていない。今後も良質の作品を楽しんでいきたい。