- 作者: エッカーマン,山下肇
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1968/11/16
- メディア: 文庫
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「君は、散漫にならぬよう注意して、力を集中させることだよ。重要なことは、けっして使い尽くすことのない資本をつくることだ。その仕事に自分を打ちこみたまえ。」
「一体国民は、いつもよい作品ばかり見たいなどと要求しているのだろうかね?今日のような悪い時代には、一体どこに最良のものに対する要求などがあるだろうか?そういうものを取り上げるようなところがどこにあるだろうか?人々は新奇なものを求めている!駄作を五つか六つ辛抱して見た上でないと、一つの傑作にはありつけそうにもないというわけだ。」
「現実というものは、それ自体では、どんな意味があろう?現実があるがままの姿で描かれていると、われわれは喜びを覚えるし、ある事柄についてより明確な知識をわれわれに与えうることも間違いない。けれども、われわれの高次の資性にとって、本当の授かりものは、詩人の魂から吐露される理想の中にだけあるのだよ。」
「自由とは不思議なものだ。足るを知り、分に安んじることを知ってさえいれば、誰だってたやすく十分な自由を手に入れられるのだ。いくら自由がありあまるほどあったところで、使えなければ何の役に立つだろう!誰でも健康に暮らせて、自分の職にいそしむだけの自由さえあれば、それで十分なのだ。」
感想
「座右の古典」で紹介されていた本。ゲーテの作品って、実のところ一つも読んだことがないんだよね。いつかは、という思いはある。なので、今回の読書が、その世界に入っていく端緒になればな、と。背景を知っていると、より楽しめそうだし。
本書の著者は、エッカーマン。ゲーテの最晩年に、密度濃く交流した人。ゲーテのように、ものすごい教養人から、色々と手ほどきを得られるってのは羨ましいね。知っておくべきこと、見ておくべきこと。効果・効率が段違いそうだ。そういう人に出会えたら最高だろうなあ。
と言いつつ、たとえそれに足る人物を見つけたとしても、僕はそこまで深入りはしないだろうけど。その点、本ってのは客観的な立ち位置から内容を吟味し、必要なものを取り入れられるからいいよね。考えるのに、好きなだけ時間もかけられるし。
この本のおかげで、ゲーテの人となりがよく理解できた。また、その思想にも結構思考を刺激された。新しいものばかり求めるってのは、確かにおっしゃる通り!ほどほどに慎まないといけないよな。本書のように、評価されている古典の中にも、読んだことのないものは溢れているわけだし。中・下巻もあるので、読み進めていこう。