韓非子 第1冊
- 作者: 韓非
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1994/04/18
- メディア: 文庫
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正しくまっ直ぐな道を行なって、それで身の安泰が得られるなら、臣下は力をつくして主君にお仕えするが、正しくまっ直ぐな道を行なって、それで身の安泰が得られないとなれば、臣下は私欲にまかせて上の者にとりいるものだ。明君はそれがわかっている。だからこそ利益になる道(賞)と損害になる道(罰)とをはっきり立てて、それを世界じゅうに示すのである。
物を役立てるには適所があり、才能をはたらかせるにも用い所がある。臣下をそれぞれその適応した所においたなら、君主はことさらなことをしないでおれる。すべてそれぞれの能力を活用していけば、君主はこまかい仕事をしないでおれる。気位が高くて自分の才能を頼みにしていると、臣下がつけこんで欺すことになる。
およそ人の知識や能力が聡明ですぐれているとしても、根本の法がないとゆきづまる。法に頼らないで智能にまかせるというのは、混乱をまねくやり方である。
感想
「座右の古典」で紹介されていた本。上に立つ者が、下を治める際の心得を述べた書。人間の本性に即した、すごく現実的な提言。僕もかなり現実的な人間なんで、すごく納得しながら読めた。この通りに実行できたら、効果が上がるだろうなあ。
まあ、やる方もかなりの気合を必要とするんだろうけどね。多分、そういうのをちゃんとやっていることが、「ブラック」とか言われる一因にもなるんだろう。ワタミとかユニクロみたく。他にも理由はあるとしても。仕事で生きていくのならば、そういう組織のほうが僕の肌に合っているかも。
うちの職場では全然実行されていないな。きちんと管理して信賞必罰を徹底すれば、だいぶ結果が変わると思うけど。僕はそこまで上に立ちたいとは思っていないけれど、効率・効果を重視する人間なんでね。無駄に金・人・時間を使っている現状をみると、何とかしてやりたいって気持ちが湧くよね。でもどうかなあ。
この本での提言を十全に実行するには、中間管理職程度の立場では難しい部分も多い。与えられた権限や人材で何とかやりくりをしないといけないんだし。使えないからって、切って捨てるわけにはいかない。そうなると、色々とケアしたり、他のやり方を組み合わせたりしていく必要もあるんだろうな。費用対効果はつり合わなそう。僕はそこまで面倒見の良い人間じゃないし、やっぱり無理かなあ。
とりあえず、韓非子は全4巻とのことなので、引き続きその思想を追っていくことにしよう。