40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

マグナカルタ Vol.2

クオータリー マグナカルタ Vol.02 SPRING 2013

クオータリー マグナカルタ Vol.02 SPRING 2013

「ワンピースはなぜ3億部売れるのか」
登場人物たちの行動原理や美学は、反知性主義、積極行動主義に代表されるヤンキー的なものとして説明できる。読んでいる層は、基本的にはそれを受け入れられる層ということだ。ヤンキーは、一部のマニアの集合体であるオタクマーケットと違って、一枚岩に近い巨大なマスマーケットだ。
ルフィたちが戦うのは、単なる敵のグループではなく、権力の掌握術や組織論に一家言を持つリーダーが生み出した権力による構造物である。それを、権力を掌握しないリーダー(ルフィ)によってつくられた組織(麦わらの一味)が、次々と撃破する痛快さこそが、この物語の人気の最大の理由なのではないだろうか。


中西輝政×浜矩子「大人の国家 子供の国家」
中西「国民国家というものが枠組みになりきれないこれからの時代、皆が絆を求め始める。だからといって、21世紀の世界で、初期のキリスト教会みたいなもので代替できるはずがない。ですから、新しい宗教、新しい支えなしに、グローバル化した地球社会で、個人が裸で耐えうるか−これが次の問いになってくるのではないでしょうか。」
浜「グローバル資本主義、資本主義の果てしなき暴走、というようなことが言われますが、歴史的に見れば資本主義というのは、国民国家の経済を動かすメカニズムなんです。だから、資本主義はグローバル化ができないんだと思います。資本主義とグローバル化の綱引きのなかで我々は右往左往している面が多分にある。まずそこを踏み違えてはいけないと思います。」
浜「一つの地球と多数の国々のせめぎ合いですね。一つの地球が勝利してしまうと、民主主義が成り立たない世界になる。でも多数の国々が勝利するということは、みんなで引きこもっていくということなので、これも民主主義は成り立たないかもしれない。だから折り合いのポイントをその間に見出さなければいけないという厄介な状況に来ていると思います。」
浜「地域の小宇宙的な共同体を確認しつつ、視野狭窄にならないようにする。いるところは小さいが視野は無限に広い、あるいは無限の寛大さを持っている、多様性を無限に受け止められる包摂力を持っている−そういった方向に我々の感覚が進んでいかないと、最悪な状態に陥っていく局面に来ているのではないでしょうか。」



感想
マグナカルタ第二号。今回は早めに読むことができたかな。前回同様、どの記事もすごく面白かった。マンガ「ワンピース」の話も良かった。あれだけ大人気の作品なのに僕が読まない理由がちょっと分かったかな。


前号に続き、政治の話はやっぱり興味深い。この雑誌は色んなジャンルの話を収めているので、どこに引っ掛かるかによって、今の僕がどの分野に関心を持っているのかが分かっていいね。
グローバル化が進行して行くのが既定路線のように語られているけれど、決して一直線に進むものでもなさそう。色々と揺り戻しやら混乱やらがありそうだな。いい情報が得られた。自分に何が出来るってわけでもないかもしれないけど、心には留めておこう。


読んでみたい本がたくさん挙げられていたのも収穫だった。「歴史観、世界観を身につけるための10冊」については、一通り当たってみたい。


あと個人的に、「時空を超えた往復書簡」の記事で、島地さんの消費行動の原点について知れたのが興味深かった。服、食事、酒などにあれだけお金を使う心理の背後には、やっぱりこういうトラウマがあったんだね。自身でちゃんと把握しているようだし、これが全ての理由ってわけでもないかもしれないけど。
これに関しては、僕とは対立する考え方だなあ。金に善悪はない。大事にし、管理すべき対象。お金を毛嫌いすると、生き辛くなると思うけどね。まあだからこそ、島地さんは波乱万丈の生き方をしているんだろう。そして僕も、自分には採りえない生き方だからこそ、惹かれる思いもあるんだろう。
とはいえ、そう突き放すものでもない。自分でも取り入れられる部分は、どんどん取り入れていきたい。