どうせ死ぬなら「がん」がいい
- 作者: 近藤誠,中村仁一
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2012/10/09
- メディア: 新書
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最近、分子生物学分野の研究が進んで「がん細胞には、できるとすぐ転移する能力がある」ということが明らかになっています。「がんは大きくなってから転移する」という説は間違いだということが、いよいよはっきりしてきた。つまり本物のがんは、早い段階で多数の臓器に転移している。だから、検診で見つかってから標準治療をしても治りません。
ひとつ覚えておくといいのは「痛い、苦しい」など、日常生活で不便を感じる症状がなく、検査や人間ドックや会社の検診などで見つかるがんはほとんど、がんもどきだということです。
いまの医者は、めしのタネとして健康な人も引っぱってくるしかなくなってる。医者不足と言われるのも、意味のない人間ドックや健診・検診をいっぱいやってるから人手が取られて、本当に大事な医療分野に医者がまわらない、という事情も大きいんです。
日本人が一生に使う医療費の2割が、死ぬ直前に使われるんだから。それがなければ、医療産業っていうのは成り立っていかないんですよ。
ぼくは、医療、教育、宗教は恫喝産業だと思ってます。「命がどうのこうの」「将来がどうのこうの」って言われたら、みんな不安になりますから。
感想
中村先生と近藤先生の対談本。中村先生については、「大往生したけりゃ医療とかかわるな」を読んだことがあるけど、終末期について語ったあの本よりは身近なこととして読めた。まあ、本当に身近になるような事態は当分来て欲しくはないわけだけど。
がんについて、今までの常識とは違うことを主張しているけど、実際のところどうなんだろう。本当だったらすごい情報だよな。この本によると、医療関係者からの反論は無いとのことなので、それならば信じてもいいのかも?ただ、人ってのは自分が信じたいことを信じるものだし、焦って結論を出さず、色々と調べていかないと。
でも実際問題、これが真実だったとしても、自分が当事者になった時に冷静に判断できるかはあまり自信ないけどね。60,70歳くらいになれば迷いなく放置する選択が採れるだろうけど、若いうちに発覚したとして、何もせず大人しく受け入れられるか。無駄だと分かっていても、色々と足掻いてしまうかも。最善手を選べる自分でありたいけど。まあどうするにしても、選択肢の一つとして知っておくってのは大事だよな。
とりあえず、反対情報が入るまでは、がん保険もがん検診も要らないや。元々、どっちも利用したことも、する予定もなかったけどさ。前に「人間ドックに行く」とか言っておいてなんだけど。宣言しておいて実行しないのはダメだね。
医療への信仰心ってのは分かるね。それを利用した恫喝産業だってのもその通りなんだろう。とは言ってもね。「宗教は弱い人のためにある」なんて言う人もいるけれど、結局、人には何がしかに頼ってしまう本質を持っている。完全ではない自分が、この世界で生きていくためには、ある程度仕方の無いこと。それは認め、受け入れてあげないといけないな、って思う。その対象は、出来る限り人様に迷惑をかけない、自分の人生を狂わせない、軽いものだといいよな。まあ、そんなふうに自分でコントロール出来るものでもないだろうけど。
今のところ、そういうのを客観視できる自分であれるってのはありがたいことだ。その姿勢は保ち続けたい。