時間ループ物語論
- 作者: 浅羽通明
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2012/10/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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①主人公が時間ループをポジティブに受け止め、その成長を描いた物語
②主人公が時間ループをネガティブに受け止め、その苦しみを描いた物語
③主人公が時間ループを特定の問題、シングル・イシューの解決のために用いる物語(謎解きや事故の阻止、等)
④主人公が時間ループそのものを楽しんで肯定する物語
高等遊民は時間ループの中で遊ぶ。それを終わらせる定番は真剣な恋愛。ただ一人の相手を選ぶ。そうすれば相互に拘束が生まれる。それはまた自分だけで浮遊するように生きていた者にとっては、リアルが生じたことに他なりません。さらに二人の明日を否応もなく考えざるをえなくなる。結婚とか子供とかですね。こうして直線的時間が発生し、ループは終わらざるをえなくなるのでした。
アニメやマンガにおける「日常」と「非日常」は、対称をなすものではない。どちらも地に足が着いていないという点では、対立概念どころかむしろ同じカテゴリーである。二項対立図式は「生活vs日常(含む非日常)」(日常・非日常は円環的、生活は直線的)。人間は、生活苦を緩和するために、安心できる「日常」と歓喜できる「非日常」を文化的に産み出し、「生活」を包み飾ってきました。
感想
「スゴ本」サイトで紹介されていた本。僕もループ物語は好きだからな。今まで読んだり見たりしたことのある作品も取り上げられており、かなり面白く読むことが出来た。それ以外にも未読のループ本がたくさん紹介されていたので、色々と読んでいきたい。
好きでいながら、今まで体系立ててループものを考えたことはなかったので、結構勉強にもなった。ループ物語の分類とか、ループ物語と類似の効果を持つ非ループ作品との比較とか。「浦島太郎」や、夏目漱石「それから」なんかの話は興味深かった。
僕の、今の一人で完結している生活も、ループ的・円環的な生き方なのかなあ、とか考えてしまった。一人で生きていくシミュレーションをしてみちゃったりするのもね。別に、誰もが使命感を持って何かを築き上げていかなくちゃいけないなんてことは無いんだけどさ。それに、使命感を持ったところでどれだけのものを達成できるんだか、なんて醒めたことも考えているし。
と言いつつも、人が生きている限りは多かれ少なかれ影響を与え・与えられるものだし、そもそもループ的に生きてやろうと思い定めているわけでもないんだけど。
ただ、世間の常識とか習慣みたいな自動的な固定観念に縛られるのが嫌いなだけ。「それって本当に意味があるの?」って。そういうのを後から悟り、「そんなのに従うんじゃなかった」なんて後悔はしたくはない。(とはいえ、「反社会」ではない。それはさらに生き辛いだろうから。)
そういう意味では、今の時代は常識が崩れつつある世の中だし、僕にとって生きやすくなってきたよなあと思う。まあ、今の時代でなければ、こういうことは考えなかったんだろうけどさ。やっぱり時代の影響ってのは受けてしまうもの。何にしても、楽しく生きたいよね。