- 作者: 東浩紀
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2014/07/24
- メディア: 単行本
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ネットには情報が溢れているということになっているけど、ぜんぜんそんなことはないんです。むしろ重要な情報は見えない。なぜなら、ネットでは自分が見たいと思っているものしか見ることができないからです。そしてまた、みな自分が書きたいと思うものしかネットに書かないからです。
人間は弱い。欲望をコントロールできない。ときに愚かな行動もとる。しかしだからこそ社会を作ることができる。旅に出るとは、そういう愚かな可能性に身を曝すということでもあるのです。(性の欲望も人生に「ノイズ」を入れるもの)
人生はいちどきり。何度も繰り返せるわけじゃない。だから統計には惑わされず、偶然の連鎖を肯定し、悔いなく生きようというのがぼくのメッセージです。
感想
9/19にニコニコ生放送で、「ちきりん×東浩紀」の対談番組があった。有料放送で、視聴に823円もかかるんだけど、一度ちきりんさんを見てみたかったんだよね。まあ、いつも通りお面はしてるんだけど、声や仕草なんかは見れるので。
第一印象としては、想像よりも声が高いな、と。(地声は低いんだけど、起伏が激しいというか。もっと落ち着いた話し方をするのかと思ってた。)あと、結構痩せてるっぽい感じだった。Twitterでいつもダイエットと言っているわりには。2時間の対談予定が、延びて4時間にも。お得。まあ、これはいつものことらしいけどね。対談の序盤は真面目に。
・哲学は人生の引き延ばし、人生の雛形。物事を複雑に考えるためにある。
・お金は経路の確保、時間の短縮のためにある。それによって他に使うものがなければ意味がない。
・物事に意味はない、欲望があるだけ。その蓄積が市場・歴史を作る。
・人生は設計できない、機能しない。偶然の積み重ね。
・ゲームやアニメは蓄積がない。パターンが分かる。文学・美術のほうがカードが多い。
僕の好物だったんだけど、こういうのってちきりんさんは得意ではないとのことで、話題はどんどん俗な方向へ。聞いている分にはそれなりに面白かったけど、何かが残るという点では前半の内容の方が良かったんだけどなあ。まあ、そういうのをちきりんさんに求めても仕方ないんだけどさ。
こういう体験には僕もお金を使っていこうと思っているので、今後もこういったプログラムが増えていくといいなあ。といって、東さんのチャンネル月額会費は高すぎて入る気にはならないんだけど。
そういうわけで今回の本。対談でも話に出てきていたので、せっかくだから読んでみた。一つの環境に閉じてしまうことの危険性について。これは僕も常に意識していること。その解決法として、この本では観光旅行を挙げている。そこで得られる偶然性と、考える時間の確保。まあ、確かにそういう面もあるだろう。僕自身、旅行は好きなんだし、そういう効用があることを否定するつもりはない。
でも結局は、意識の持ち様だと思ってしまうんだよね。ネットは今の関係性を強化するツールだと言うけれど。それこそ使い方次第。自分を拡げる手段としても十分使えるし、匿名だからこそ表明できる意見や情報ってのもある。僕としては、最も可能性のあるツールだと思っている。その活用にもっともっと習熟していきたい。