感想
青山さんの本、4冊目。いつも通りの短編連作で、一つの型に沿って、登場人物たちの悩みが溶けていく構成。ワンパターンではあるけれど、この安心感、読みやすさがあるからこそ嵌るんだよな。情報が多岐に渡って溢れすぎた現代ならでは、なのかな。
細かな感情の機微には疎い僕には、このくらい短くてストレートに訴えてくれる物語のほうが、ダイレクトに響くみたいだな。趣向を凝らしたレトリックなんて求めていない。ここから始め、振り返り、先に進んでいきたい。
どの話も、飛び抜けた才能のある人物が出てくるわけではなく。等身大の、読者にも感情移入しやすい人物が主役。彼らが、迷い、考え、最後に新たな道に踏み出していく様を見て、こちらも勇気づけられる。読後、自分もちょっと頑張ってみようと素直に思える。著者の設定は上手いなあ。
他にも出版されている本があるみたいなんで、そちらも読んでいきたい。