銃・病原菌・鉄−一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎−上
- 作者: ジャレドダイアモンド,倉骨彰
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2000/10/02
- メディア: 単行本
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西洋人が新大陸を征服できた直接の原因は、銃・病原菌・鉄にある。では、なぜ西洋人はそれらを持ちえたのか。新大陸の人間はなぜそれらを持ち得なかったのか。この本は、その根本原因に迫る。
こういう、大元を探っていくストーリーってのは僕の好みに合うなあ。仕事でも、表面的な課題じゃなくてその根本原因から解決したいって思うほうだし。今までこの問題についてはっきりと自覚して考えたことはなかったけど、漠然とした疑問は持っていた。アメリカ大陸なんかは今では一大食糧生産地帯となっているわけで、それがなぜ過去大規模に発展させられなかったのか。狩猟可能な動物が豊富でその必要を感じなかったのかとか思っていたが、今回、その原因を深く知ることができてとても満足だ。
それは人間の能力に問題があったのではなく、発展に適した環境が整っていたかどうかの違いなのだ。この違いが現在のとてつもなく大きな差につながってしまったのだ。その結果生じた事態は恐ろしいほどだ。
仕方ないなんかで済ませられる問題じゃないけど、人間にはどうしようもないことが原因だ。それこそ、運命とか言われるものだろう。それがこの世界の現実で、今の世の中でもその法則は色々と作用しているんだろう。与えられた環境を恨んでも仕方ない。そこでいくら努力したところで、どうにも及ばない圧倒的な差というのは生まれ得るものなんだ。
それを踏まえてもなお、少しでもよりよくできるように努力しなければならない。苦しいし、無力感を感じることもあるだろうけど、得ることができたことに感謝して、前向きに取り組んでいくしかないだろう。
現代に生まれることができたってのは、昔の人から比べれば大きな喜びだろう。まして、豊かな日本に生まれることができたんだから。頑張っていこう。下巻も楽しみだ。