40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

なぜ私だけが苦しむのか−現代のヨブ記−

なぜ私だけが苦しむのか―現代のヨブ記 (岩波現代文庫)

なぜ私だけが苦しむのか―現代のヨブ記 (岩波現代文庫)

病人や苦痛にさいなまれている人が、「いったい私がどんな悪いことをしたというのだ?」と絶叫するのは理解できますが、ほんとうのことを言えば、これは間違った問いかけです。
より良い問いかけは、「こうなってしまったのだから、私は今なにをすべきなのか、そしてそうするために誰が私の助けになってくれるだろうか?」ということなのです。


自分はこのままではいけない、この点が欠けているといった感覚、つまり、自分はもっと素晴らしい人間になれるはずだという認識は、倫理観を向上させ、社会を改善する活力となっています。適切な罪意識は、人々をより良い方向に向かわせるものです。
しかし、度をすぎた罪意識、明らかに自分の責任ではないのに自分を責めようとする傾向は、私たちから自尊心を奪い去り、おそらく成長と行動に支障をきたすことでしょう。


感想
ユダヤ教のラビが書いた本。僕は、宗教に対して嫌悪感は持っていない。最近は、「必要悪」以上の存在だと思っている。色々問題点はあるけれど、人がより良い人生を歩むためにはなくてはならないものなんだろう。宗教のおかげで芸術や科学が発展してきたって面もあるし。人類はもっともっと宗教とのうまい付き合い方を考えていく必要はあるだろうけど、それは永遠の命題なのかな。

「宗教は人と人を結ぶ」ってのは宗教の存在意義に対する大きな答えの一つだと思う。厳しい自然環境の中で生きていくためには、人々が団結できる強い絆が必要だったんだろう。近年になって宗教が力を失ってきたのに、最近の問題が噴出している世の中においてまた宗教が見直されてきているのも、そこに原因があるんだろう。
本当、答えはないけれど、いくらでも考えることのできる題材だなあ。この本は、ラビが書いたといっても、正当な流れの教えではないだろう。神の完全性を否定しているし。宗教家の中にも現実との共存を図るために色々考えている人がいるんだな。こうした相対的な考えがどんどん広がっていけばいいのにな。