日本の歴史をよみなおす
- 作者: 網野善彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/07/06
- メディア: 文庫
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これまでの歴史研究家は百姓を農民と思い込んで史料を読んでいましたので、歴史家が世の中に提供していた歴史像が、非常にゆがんだものになってしまっていたことは、疑いありません。百姓は決して農民と同じ意味ではなく、農業以外の生業を主として営む人々―非農業民を非常に数多く含んでいることを、われわれはまず確認した上で、日本の社会をもう一度考え直さなくてはならないと思います。
感想
13,14世紀以前は女性も表で活躍していたとか、死に対して畏れを持っていた古代、死を扱う人はきちんとした市民権を持っていたが、畏れから忌避に向かっていった時に蔑視されるようになっていったとか、百姓の話とか飢饉の話とか。
日本の歴史についてはこれまで小学校時代から学んできたわけで、今さら新しい発見なんかはないと思っていたが、それを見事に覆された。信長が宗教を弾圧したのも、一般と異なる教えを排除するって理由だけじゃなくて、重商主義と農本主義という日本のあり方の根本を賭けた戦いでもあったんだなあ。知っていると思い込んでいた場所にも、まだまだ知らないことが山ほど残っている。世界は広いけど、日本国内だって全て理解できているわけではない。そのことがよく分かった。
本当、知識ってのは限りがない。これからも驚きの発見を繰り返していくことができるのだと思うとぞくぞくする。わくわくする。この好奇心をいつまでも失わず、常に自分に取り込んでいきたい。