カラマーゾフの兄弟 3巻
- 作者: ドストエフスキー,亀山郁夫
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/02/08
- メディア: 文庫
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ドストエフスキーは、登場人物たちの精神の深みを、ときどき驚くべき鋭い方法で提示する。その方法の一つが、カーニバル的な場面設定である。
世界を流動的なものとして見つめ、人間の意識をどこまでも解放していこうとする精神、そこにドストエフスキー文学の、もっとも大きな力があると考えてよいのではないか。
感想
また来たよ、あのぐだぐだが。今回はドミートリーの話が大半を占めているんだけど、ドミートリーの思考は僕には理解できない。ああやって金をばらまくことに、どんな価値があるってんだろう。そのくせ、金を得ることに死に物狂いになるんだからな。人間ってのは矛盾した部分も多いんだろうけど、ここまで行ってしまうと感情移入の余地もない。ドミートリーの話もてんでバラバラに飛んでいくし。訳者によると、そこがドストエフスキー文学の真骨頂ってことらしいんだけど。そこを楽しめないと、この「カラマーゾフの兄弟」って作品を理解できないのかもな。
考えてみたら、2巻が結構読めたってのは、ドミートリーが出てこなかったからなんだな。アリョーシャとイワンの話が中心で、この二人はまあまあ論理的に考えて行動してくれるんで抵抗なく受け入れられる。でもドミートリーとフョードルはなあ。全員が出てくる1巻も、だからかなり受け付けなかったし。
なんにしても、ようやくフョードルが死んで話が動き出した。これからどうなっていくのか、4巻での展開を追っていきたい。