40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

カラマーゾフの兄弟 4巻

カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)

検事による論告。性格論
最初のケースでの彼はほんとうに高潔であり、第二のケースでの彼はほんとうに卑しいのです。なぜでしょう。それはほかでもありません。彼は、振幅の広い、カラマーゾフ的な気質の持ち主だからです。わたしは、まさにこのことが言いたかったのです。つまり彼のような人間は、あらゆる両極端をいっしょくたにできるし、ふたつの深みを同時に眺めることができるのです。
それはすなわち、頭上にたかだかとひろがる理想の深みであり、眼下に大きく口を開けた、悪臭ふんぷんたる底なしの深みです。
彼は極端です、母なるロシアの大地のように広大です。彼はすべてを呑みこみ、そのすべてと折り合いをつけていけるのです!


感想
初めにコーリャについての話が出てくるんだけど、なぜここで挿入されているのかよく分からなかった。そして、前巻までまともだと思っていたイワンが狂っちゃうし。でも、怒涛の勢いのある巻だった。ドミートリーが逮捕されたことで物語が大きく動き出し、クライマックスに向けて駆け上がっていったような感じ。検事と弁護士の主張も、それぞれに納得感があり、読んでいて楽しかった。

ただ、ここまで壮大な話なんで、物語の全てを味わい尽くせてはいないんだろうな。僕が余計だと思った箇所にも、ドストエフスキーは意味を込めて配置しているんだろうし。僕ってこういう物語に対する読解力があんまりないんだよなあ。主義主張がはっきりした単純な作品の方が読みやすくて好き。そういうのを毛嫌いして避けちゃいけないとは思うんだけど。もしも理解できるようになったら楽しいだろうから。難解な作品に出会ったときにはいつもネットで解説サイトを回ってるんだけど、細部まできちんと消化している人たちって本当に凄いよなあ。ああいうふうになりたいなあ。
続く5巻には解説が載っているそうなので、それに期待。その時改めてこの作品について振り返ってみたい。