新ゴーマニズム宣言SPECIAL台湾論
- 作者: 小林よしのり
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2000/10/01
- メディア: 単行本
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やっぱり血筋じゃないんだよ。たとえ日系であろうとアメリカの国土の中の「公」に恩恵を受けてたらアメリカ人なんだよ。同胞と思ってたら甘い。向こうは向こうの国益で動くし、そもそも日本人とは全然違うメンタリティーを持ってるんだから。人は自分が帰属する所、アイデンティティーを求める。よほど強固な宗教でも持ってない限り、立場も拠り所もない個人では信じられるものは金だけということにでもなって、拝金主義に堕すしかないだろう。日本人ほど自分のナショナリズムに無自覚な人間はいない。
「終戦の時、蒋介石は中国の民衆に向かって『徳を以て怨みに報いる』と言って復讐をしないよう呼びかけた。敵国を怨まず堂々として東洋道徳の範を示し、しかも賠償まで放棄して日本に一円も求めなかった」そのように言う戦中派がいるのだ。だが、本当は蒋介石は終戦時、そんなことは一言も言ってない!それは後になって流されたデマ宣伝である。賠償を放棄したのも当たり前である。蒋介石は正規に得られる賠償よりもはるかに膨大な資産を不法にぶんどっているのだから。戦後、日本は国民党に対して何回も双方の個人私有財産の清算を求めたが、国民党は今日まで全く答えていない。中国国民党は、ナチスやイタリア・ファシスト党、ソ連共産党の構造を真似た、蒋介石個人独裁のファシズム政党だった。
感想
小林よしのりの著書。嫌韓流、戦争論に続き、台湾論にも手を出してみた。戦争前後の歴史については幅広く勉強していきたいと思っているので。台湾について良く知ることができたし、それ以外の著者の主張の部分でも頷けるものが幾つも見つかった。特に、日本の選挙・政治家についての部分は、本当にそうだよなあ。
近く参院選が迫っているけど、今回も多くのタレント・スポーツ選手が立候補している。色々と批判されているけれど、彼らは各政党から色々なメリットを示されており、そうしたメリットデメリットを考えた上で決断したんだろう。本当に国について考えている人も、もしかしたらいるのかもしれない。なので、彼らの行動原理は理解できる。立候補するのは正当な権利なわけだしね。
分からないのは、そういう有名人に票を投じる有権者のほう。経済が行き詰まり、様々な問題が噴出しているなかで、先の事をちゃんと考える、国にとって有益な人を選ばないといけないはず。有名人に投票する人たちは、そこのところを本当に考えているのか?政治不信で、誰がなっても変わらないって空気が蔓延しているのは分かる。だからといって、それを打破するための手段がそれなのか?そんなんだから、政治が何にも変わらないんだよ。
国民が本当に国について憂え、考え、そのための行動を起こしたならば、確実に変化すると思う。そこまで至れないのは、行き着くところまで行き着いていないからなのかなあ。でもまあ、遠い先のことでもないだろう。
あと、蒋介石についての話は、僕も戦中派と同じように理解していた。なのでびっくりした。政治の駆け引きの世界ってのは、やっぱり凄いなあ。そういうところで戦うのが政治家なんだからな。それに相応しい人を選ぶべきなのは当然だろう。
台湾についてはもう少し追っていきたいと思う。