40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

語られなかった皇族たちの真実

なぜ、男系にこだわらなければならないのか。その最たる理由は、皇統の男系継承は2000年の伝統があるからということに尽きる。これだけ長い間育まれ、そして守られてきた伝統的慣習を簡単に変更するというのであれば、それは先祖に申し訳ないことであると考えなくてはならない。

皇統が断絶の危機に至らないことを切に希望するが、もし旧皇族といわれる十一宮家の子孫が皇族に復帰することと、皇統断絶が直接結びつくような状況が生じたならば、皇室の尊厳と存在意義を守り抜くために、旧皇族の男系男子は責任を感じなくてはならない。旧皇族の実系による子孫のうち、私の世代には八人の未婚の男系男子がいる。この八名は各々が身の内に責任を感じるべきであると私は思う。


感想
これまで世襲親王家が果たしてきた役割、そして太平洋戦争当時やその前後の皇族の動きについて色々述べられている。また、皇族離脱後の十一宮家の動向など。今まで語られたことのない部分だったため、とても面白かった。重要な役割を果たしてきたんだな。
そしてこの本の主題となるのが、「男系継承」について。小林よしのりさんが推す「女系容認論」への反論。やっぱり、一方の側からの主張だけでなく、両者の意見は聞いておきたかったからな。全部読んでみて、竹田さんが言うことにも確かに筋が通っているな、と感じた。特に、過去三回あった皇統断絶の危機においても、安易に女系に継承させず、系図をかなり遡っても男系男子に継承させてきたっていう事実は重いよな。第25代武烈天皇から第26代継体天皇とは10親等の隔たり、第101代称光天皇から第102代後花園天皇も10親等の隔たり(ネットでは8親等っていう記述もあった)、第118代後桃園天皇から第119代光格天皇は7親等の隔たりがある。ここまで来ると、一般人の感覚からすると赤の他人だよな。それでも男系を優先させてきた。まあ、皇族であれば血統は常に意識していただろうから、繋がりがあるってことは分かっていただろうけど。
ならば、旧宮家から後継者を出すことも、「部外者だから受け入れられない」とは言えないだろう。優先度としては、「天皇家からどれだけ近いか」、よりも「男系かどうか」の方が高いんじゃないか?この著者のように、旧皇族であることを強く意識している人もいるみたいだし、今でも皇族との繋がりはあるらしいし。「全くの他人」ってわけじゃないようだからな。それに、かつての継承時も、前天皇に近い女性と結婚することで血を融合させて正当性を補強したわけで、そうすれば国民の抵抗感も低いだろう。
天皇の本質が「祈ること」にあるってのは分かる。だから、生まれたときからその環境で育ち、常にそれを意識してきた人に継いでもらいたいってのも。でも、これまでだってその務めを果たせなかった例はあるんだし、立場が意識を作る面もあるし。


でも、男系保持か女系容認かを決める前に、まず状況をもっと詳細に調べる必要があると思う。旧皇族を復帰させるとして、実際にどれだけの旧皇族がそれを望んでいるかも分からない。女系宮家を作るって話も同じ。本人が心から望んでいるのならいいんだけど、使命感から「仕方なく重荷を背負う」ってことになるのは違うと思うし。その人の人生を大きく変えてしまうことになるわけだからな。「選択制」にしたところで、あえて継承権を持たないことを選択した人たちに対する非難が生まれてしまう可能性もあるわけだし。こうして理念だけで語っても、現実がそれに追いついていないんじゃ話にならない。「旧皇族が語る天皇の日本史」の中で対談していた寛仁親王は男系保持の立場のようだが、他の皇族はどうなの?天皇は女系容認らしいし。皇族や旧皇族の関係者全員の立場を知りたいところだ。少なくとも、関係者を排除した「有識者会議」で決めていい問題じゃない。
どうするにせよ、早いところ議論や法改正は進めていくべきだな。切羽詰ってから騒いでも、ろくな結論にならない。準備も整わないし。このまま行くと最後には、「それしか選択肢がないから」って理由で天皇が決まってしまう。それは両陣営にとっても、国民にとっても望ましい結果じゃないだろう。でもやっぱり、結局はそうなりそうな気もするなあ。
現段階での僕の立場としては、「悠仁親王の家系から男系継承が続くといいな」ってところ。まあ、そんなの誰だって思ってるんだけど。それが無理になったなら、今の皇族の女性と結婚するという条件付きで旧皇族から天皇を出してもいいと思う。それを受け入れる女性がいないのならば、女系天皇でもいいかな。どちらにしろ、天皇という立場・役割を望み、しっかりと果たしてくれる人であれば、僕は構わない。本当は当事者の一存で決めていいことではないと思うけど、そういう立場の人は、これまでの日本の歴史・伝統を鑑みた上で決定を下してくれるだろうからな。
関係者のみんなが、「国民の意見を知りたい」ということであれば、国民投票にかけてもいいよな。日本の国体に関わる重大な問題だし、そこまで大々的に議論してもいいと思うんだけどな。まあ、決定を下すためにも、必要な情報はきっちり出してもらわないと困るけど。