理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)
- 作者: 高橋昌一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/06/17
- メディア: 新書
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どのような投票方式で選ぶかと定める時点で、すでに当選者のタイプも暗黙のうちに決まっている。実社会の多くの選挙で「単記投票方式」や「上位二者決選投票方式」が用いられているのは、やはり当選者に強いリーダーシップが求められていることが理由だと考えられます。
一方、学会の理事や審議会の委員など、さまざまな分野の専門家集団で複数の代表者を選出するような場合には、「順位評点方式」が用いられていますね。「勝ち抜き決戦投票方式」は、企業の商品開発のように、弱い商品が脱落していく中で勝ち残る商品を選ぶような場合に用いられています。
特定の思想を受け入れるか拒否するかは、すべて個人の自由に委ねられるべき問題じゃないかね?科学も政治も宗教も、結果的に人間集団の信念体系にすぎないという意味では、まったく同列なんだよ。
感想
旅行に持っていって読んだ本。なかなか面白かった。
投票についての話は興味深かった。仕事でも、安易に単記投票方式や順位評点方式を使っちゃってるけど、どの方式を使うか決めた時点で、どのようなものが選ばれるかの傾向が決まってしまう。ちゃんと考えて使っていかないといけないな。うまくやれば、自分の望む方法に有利に事を運べるかもしれない。まあ、そうそう上手くはいかないだろうけど。
ニーチェは「物事に絶対はない」って言ったわけだけど、哲学だけでなく、科学の分野からも同じことが言えるんだね。どんなに突き詰めても確定できない物事はある。それは、例え全知全能の神だったとしても不可能なこと。というより、「全知全能」は成り立たない。ここからも、「神はいない」って言えるよな。
こういう理解に達していれば、人は自分の意見に固執せず、もっと周りに耳を傾けられるようになるんじゃないかなあ。そういう人が増えればいいのになあ、と思う。