40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

源氏物語 巻6

源氏物語 巻六 (講談社文庫)

源氏物語 巻六 (講談社文庫)

源氏のしおり
この巻には「若菜」上、下が収められている。「若菜」の帖は、多くの学者、研究家、作家たちから五十四帖の中で最も面白いと評価され、絶賛されてきた。
「若菜」の面白さは、この帖に至って源氏が初めて心底から人生の苦悩を味わうことにある。


感想
久しぶりの源氏物語。5巻が源氏の君の最高潮。以降は落ちていくと分かっていると、手を出し辛くて。「ローマ人の物語」でも、ローマが蛮族に荒らされていく後半は辛かったからな。まあ、そろそろ放置はやめて読み進めていくとするか。
5巻で一途さを見せていた夕霧が、さっそく浮気心を発揮。結婚から何年経ったのかは分からないけど、「結婚」という確かなものを得てしまうと、他に目移りしてしまうものなのかな。まあ、当時は何人も女を作ることが当たり前の世の中だったし、夕霧も特に後ろめたいことをしているわけじゃないんだけどね。
源氏が寝取られたのは、女三の宮。どの巻だったかは忘れたけど、あとがきに源氏が寝取られるって書いてあって、誰のことかびくびくしてたんだよな。まさか紫の上じゃないよな?って。それが杞憂に終わってホッとした。女三の宮は、源氏の奥さん連中の中では一番最後に出てきた人物だし、結婚後も源氏は表面だけ夫婦関係を取り繕っていた感じだったので、僕としては一番ダメージは少なかった。もちろん、そういうのは無いにこしたことはないんだけど。それにしても、こうやって足元をすくわれるってのが、絶頂期を過ぎた人間の姿ってやつなんだろうな。ちょっと悲しい。寝取られに気付かず、滑稽な道化を演じる羽目にならなかったのは、せめてもの救い。
「若菜」の帖が最も面白いと評価されてきたらしい。でも、僕としてはこんな現実に直面させられるような展開はあまり見たくないというか。源氏にはいつでも、雲の上の、完全無欠の存在でいてほしかった。そんなんじゃお話として成り立たないのかもしれないけどさ。