40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

言葉の海へ

言葉の海へ (洋泉社MC新書)

言葉の海へ (洋泉社MC新書)

「近代国家には近代国語辞書が要る。一国の国語の統一は、独立の基礎であり標識である。それなくして一民族たることを証することは出来ぬ。同胞一体の公義感覚は持てぬ。いま、おれの『言海』がある。ウェブスターの英語辞書、リトレのフランス語辞書に比肩するには後日の増補が要るだろう。しかし、この国にはまだなかった日本普通語辞書が、ここにある。独立の基礎たる国語の統一は、ここから出発する。」


百科事典とは一つの文明そのものであり、思想の集大成であるものだ。


自らの国の地理を知悉することを、文彦は教育の核にした。自らの国を知ることなしに、学ぶことの意味はないと思った。



感想
島地勝彦さんのネット連載「乗り移り人生相談」の中でお薦めされていた本。面白そうだったので早速読んでみたんだけど、大当たりだった。さすがは島地さん。今後もお薦めの本は追っていきたいな。


この本は、明治初期に、日本で初めての近代国語辞書を編纂した大槻文彦の伝記。あの時代は、色々なものを一から構築しなければいけない時代だった。議会、憲法・法律、軍隊、など。国語辞書もその一つ。今では当たり前のように存在しているものだけど、それにこれだけの物語があったってことを初めて知った。こういう時にこそ、知る喜びってのをしみじみ感じるよなあ。


辞書を最初に作る労力には、想像を絶するものがあったんだな。その作業に一生を捧げる責任感、根気、意志。こういう人がいてくれたからこそ、それを土台として今の僕達の生活がある。先人の成果の上に立っていることを意識すると、本当に感謝できる。疎かに生きちゃいけないなって、気が引き締まる。僕は後に何を残すことが出来るのか。そう考えるとあまり自信はないけれど、出来るだけ充実した日々を過ごしていきたいよな。知る喜びも、もっともっと味わっていきたい。明治の世を先導した大槻のように、先端の知識を取り入れ、大局を見据え、自分の生き様を貫いていきたい。