言葉の海へ
- 作者: 高田宏
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2007/10
- メディア: 新書
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百科事典とは一つの文明そのものであり、思想の集大成であるものだ。
自らの国の地理を知悉することを、文彦は教育の核にした。自らの国を知ることなしに、学ぶことの意味はないと思った。
感想
島地勝彦さんのネット連載「乗り移り人生相談」の中でお薦めされていた本。面白そうだったので早速読んでみたんだけど、大当たりだった。さすがは島地さん。今後もお薦めの本は追っていきたいな。
この本は、明治初期に、日本で初めての近代国語辞書を編纂した大槻文彦の伝記。あの時代は、色々なものを一から構築しなければいけない時代だった。議会、憲法・法律、軍隊、など。国語辞書もその一つ。今では当たり前のように存在しているものだけど、それにこれだけの物語があったってことを初めて知った。こういう時にこそ、知る喜びってのをしみじみ感じるよなあ。
辞書を最初に作る労力には、想像を絶するものがあったんだな。その作業に一生を捧げる責任感、根気、意志。こういう人がいてくれたからこそ、それを土台として今の僕達の生活がある。先人の成果の上に立っていることを意識すると、本当に感謝できる。疎かに生きちゃいけないなって、気が引き締まる。僕は後に何を残すことが出来るのか。そう考えるとあまり自信はないけれど、出来るだけ充実した日々を過ごしていきたいよな。知る喜びも、もっともっと味わっていきたい。明治の世を先導した大槻のように、先端の知識を取り入れ、大局を見据え、自分の生き様を貫いていきたい。