40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

坂の上の雲 2

坂の上の雲 <新装版> 2

坂の上の雲 <新装版> 2

子規「おどろかされるのは、源氏の写生力じゃ。ちかごろ文壇では写実派などととなえだしているが、その写実の上でもいまの小説は源氏にはるかに劣っている。」


真之の特徴は、その発想法にあるらしい。その発想法は、物事の要点はなにかということを考える。要点の発見法は、過去のあらゆる型を見たり聞いたり調べることであった。多くの事項をひとわたり調べ、ついでその重要度の順序を考え、あまり重要でないか、もしくは不必要な事項は大胆にきりすてた。精力と時間を要点にそそいだ。
「人間の頭に上下などはない。要点をつかむという能力と、不要不急のものはきりすてるという大胆さだけが問題だ。従って物事ができる、できぬというのは頭ではなく、性格だ」


日本政府がやった対露戦の戦略計画は、ちょうど綱渡りをするような、つまりこの計画という一本のロープを踏みはずしては勝つ方法がないというものであった。
陸海軍の戦略も、外交政略もじつに有機的に集約した。そういう計画性の高さと計画の実行と運営の堅実さにおいては、古今東西のどの戦争の例をみても、日露戦争の日本ほどうまくやった国はないし、むしろ比較を絶してすぐれていたのではないかと思われる。


戦後の日本は、この冷厳な相対関係を国民に教えようとせず、国民もそれを知ろうとはしなかった。むしろ勝利を絶対化し、日本軍の神秘的強さを信仰するようになり、その部分において民族的に痴呆化した。日露戦争を境として日本人の国民的理性が大きく後退して狂躁の昭和期に入る。



感想
1巻を読んでから、3ヶ月ぶりの続き。こんなに間を空けるつもりはなかったんだけど。実際、一度は図書館で借りていた。でも、借り出し延長した挙句、結局読まなかったんだよな。このシリーズは図書館の在庫も豊富なため、予約すると、待たずに借りることができる。いつでも読めるものは、後回しになりがちなのは仕方のないところ。まあ、さすがにこれからはもっとテンポ良く読んでいこう。あんまり空けると、前に読んだ内容を忘れてしまうからな。


正岡子規も、源氏物語を読んでいた。僕にとっては正岡子規は歴史上の人物だけれど、その人と同じものを読んだことがあるってのは、何だか不思議な感じがするよな。時代を経て読み継がれてきた本。そんな名著を、他にも色々と読んでいきたい。


秋山真之の能力について。天才と呼ばれる人と比較するのもおこがましいんだけど、取捨選択し、不要なものを切り捨てる能力については、僕もそれなりに自信がある。こだわり所を絞ることで、余計な荷物を抱え込まず、効率的に行動する。それがあんまり極端すぎるんで、今は逆に無駄に思える部分も拾っていこうと思っているんだけど。でもまあ、それは選択の仕方が適切でないのか、選択した部分を深め、広げる能力に欠けるのか、どっちかに原因があるんだろうな。


日本とロシアの戦力差をみるに、日本が勝てたのは、本当に奇跡的なことだったみたいだな。色々な要素が噛み合って、ようやく勝ちを拾えた。これからその中身を詳細に追っていくわけだけど、とても楽しみだ。