- 作者: ジャレド・ダイアモンド,楡井浩一
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2005/12/21
- メディア: 単行本
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成功を収める社会や個人は、そういう困難な決断を下す勇気を持ち、賭けに勝利する運を備えているのかもしれない。今日、全世界が、環境問題に関して同様の決断を迫られている。
感想
「文明崩壊」の下巻。過去の崩壊例や存続例から、崩壊の要因を抽出する。そしてその要因は、今後の地球全体の行く末も左右する。それまで述べられていたのは特定の「閉じられた系」についてのものだったけれど、グローバル化が進み、互いに関係性が強くなった世界においては、問題は一地域に限定されるものではない。果たして現代文明は存続できるのか?といったところか。
壮大なアプローチの割には、結局は落ち着くところに落ち着いた、という印象。まあこれは、今さら読んだから抱いた印象であって、後出しのように言うべきじゃないんだけどね。環境問題については、今までにも色々と読んできたので。
著者は「慎重な楽観主義者」とのこと。解決策はあり、その意思があれば問題を解決することは可能だ、と言う。著者がこの本を発表して以来、世界はそれを選択してきたのかなあ。結局、経済第一、目の前の生活が第一で、先のことまで目を向ける余裕が無い、というのが現実。「2052」の著者が言うように、21世紀後半の衰退ってのが一番確度高そうかなあ、と。そういう、一人ひとりの意識から変えていかなくちゃいけない、ってのは分かっているんだけど。やっぱり次世代のことを真剣に考えていないんだろうね。著者も子供を作る過程で意識が変わったとのことだし、そういうのでもないと。なんて、かなり無責任だけど。
ただ、「成功と失敗を分けるのは、状況に合わせて上手く価値観の置き換えができたかどうか」というのはその通りだろう。環境問題に限らず、今後日本においても、色々な選択・決断が求められていく。勤務体系、年金制度、移民政策、等々。変化するってのは当然未知のことなんで、引き延ばせるのならそうしたいもんだけど。追い込まれてから選択の余地無く受け入れざるを得なくなるのは嫌なんで、ちゃんと備えはしておきたいところ。