神の法vs.人の法−スカーフ論争からみる西欧とイスラームの断層−
神の法vs.人の法 スカーフ論争からみる西欧とイスラームの断層
- 作者: 内藤正典,阪口正二郎
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2007/07/30
- メディア: 単行本
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タイトルに興味を引かれて読んでみた。やっぱり宗教の問題というのは根が深い。容易に取り除けるものではない。不平等な扱いを受けている人が、宗教にアイデンティティを求めるのだ。中には国家にそれを求める人もいるだろう。それを弾圧したところで治まるようなものではない。
また、フランスにおける公共の場での宗教の排除の姿勢がよく分かった。トルコは大半がイスラム教徒であるにも関わらず世俗主義を貫いている、といったこととか、今まで知らなかったことが深く知れて本当に良かった。ためになった本だと思う。
この世界から宗教がなくなればいいと思っているが、その道が果てしなく遠い道であることを思い知らされた。百年、二百年といった単位では成し遂げられない問題だろう。生産性を極限まで上げて、人が働かなくても生きていけるシステムを作り上げ、それはもちろん循環するシステムでなくてはいけなくて、そうやって貧困者がいなくなったときに初めて無宗教の可能性が開けてくるのかなあ。でも貧しさだけが人に何かへの帰属意識を抱かせるわけじゃないからなあ。人の業に凹まされる思いだ。