斎藤孝の速読塾
- 作者: 斎藤孝
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/10/01
- メディア: 単行本
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本から概念を得るのに必要なのは、まさにこの「視点移動ができるか」という点につきます。自分以外(著者、あるいは登場人物)に視点を移動し、新しい見方や概念を吸収すること。そうすることでより知的で奥深い読み方ができます。著者がよく使っているキーワードを繰り返しているだけでも、少し視点が移動し、著者のほうに思考がシフトしてきます。
これを身に付ければ、他の人に対する包容力が身に付き、いろいろな角度から物事を見ることができるので、いいアイデアが出せます。
本を読んでも概念をゲットできない人というのは、慰撫の本(自分の主観を再確認するためだけの本)だけを読んでいるか、本に対して自分が期待するものだけを読み取り、固着的、停滞的なあり方に慣れてしまっている人です。こういう人は視点移動ができないので、本から新しい知見や概念を得ることができません。「今まで考えてもみなかった」ということが書いてある本にこそ意味があるのです。
小説とはいわば「他者理解」の作業なので、自分とは違う人間に視点移動し、自分にもそういう部分があるかもしれない、と自分の中の他者性に気づいていく効用があります。
感想
本が届いたその日中に読みきってしまった。読書法は、今後読む本の読み方に影響を与える基礎となる部分だから、なるべく前倒しで読んでおいたほうがいいだろうと思って。本を読むときの読み方というか、姿勢には考えさせられた。
「罪と罰」は読んでいて苦痛だったが、自分の価値観を本に投影させてしまっては、自分と対立する意見から何かを汲むことはできない。その価値観の幅を広げることが読書の目的なのだから。僕のあの当時の読み方は間違っていたなあ。今読めばまた違う感想を持つことができるのだろうか。また、自分の興味外の本も読むことが大切だと思った。今はまだ、超名作と呼ばれる基本書を読み進めている段階のため、何を読むか迷うことはないが、基礎を確立した後、自分の方向性を探っていく段階においてはこういうことに気をつけていきたい。
やっぱり、本からより深く何かを得るためには出力することが大事だ。どの本にでも書いてあるので真理なんだろう。ブログにアップするという方法は続けていきたいが、この本で述べられていた、本仲間を作るという方法も有効だと思う。読書好きの知り合いと、そういう場を設けてみるのも面白いかもしれない。そこでまた興味の対象も広がるだろうし。
この著者の別の作品である、「質問力」や「コメント力」といった本をAmazonで予約した。前に読んだ「コンサルタントの質問力」の本は僕の求めていたものと若干ずれていたため。これらの本が僕の希望に沿うものであればいいんだけど。届くのが楽しみだ。