誰も知らない世界と日本のまちがい−自由と国家と資本主義−
- 作者: 松岡正剛
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2007/12/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 10人 クリック: 96回
- この商品を含むブログ (78件) を見る
それが、明治以降に国民国家の仲間入りをするようになってから、欧米諸国の「間違い」まで定着させるようになった。日韓併合や満州国の建国はそういう勇み足でした。ナポレオンやビスマルクに憧れすぎたようです。今、そういう過誤はなくなったでしょうか。本書では、「苗代」を例にして、グローバリズムの導入をいったん幼若な苗にして、それから本番で植え替えるという方法があるのではないかということを最終章の提案にしてみました。直播き、ちょっと待ったという提案です。
人間の知恵が昔から変わらないのなら、人間の憎悪や嫉妬だって、昔から変わらないはずです。そこをなんとかやりくりしてきたのが、まずは宗教や信仰というものであり、ついでは社会の制度とか国家の仕組みだったわけです。そしてそのヴィジョンのもとに、近代では民主主義や自由資本主義が広がっていった。
感想
前作「17歳のための世界と日本の見方」がかなり面白かったため、この続編をずっと読みたいと思っていた。図書館で予約していたんだけど、かなりの人気作のため今回ようやく借りて読むことができた。やっぱり面白い。最近は自己啓発系の本ばかり読んでいたこともあるけど、テクニックや技術・知識の話ではなく、人間として、とか日本人としての、考え方・思想について考えさせられたのは、また今までと違った視点をもつことができて楽しく読めた。
世界の横の繋がりが描かれていたのは結構興味深かった。それにしても、この人の知識は半端じゃない。ものすごく広い範囲の、しかも深い知識を持っているため、話が重層的に、また縦横無尽に駆け回り、圧倒されるほど。日本の中でも有数の読書家ということだが、それらの知識がしっかりと頭に残り活用できるほど理解しているのはすごい。この人までとは言わないけど、僕もそれに少しでも近づけるようになりたい。そういった幅広い知識背景があると、自分の頭の中で様々な思考が展開できるんだろうなあ。頭の中での思考活動だけで一日中過ごすこともできるんだろうなあ。僕もそんなことをやってみたい。一つの出来事をいろいろな面から考察し、様々な出来事と関連付けて考えていく。この人の言葉では「編集」ということになるんだけど、本当、一つの出来事はあらゆる物事と繋がっているんだろうなあ。その全ての繋がりが世界を形作っている。その一端でも解きほぐすことが出来たら、と思う。