ゲノムと聖書
- 作者: フランシス・コリンズ,中村昇,中村佐知
- 出版社/メーカー: エヌティティ出版
- 発売日: 2008/09/29
- メディア: 単行本
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現時点で、神の存在を否定するつもりはない。そんなことは証明できないだろうし。ただ、神はいるとしても人類の中でそれを正しく知っている人間はいないと思うし、そのことが神の人類に対する働きかけがないことの証拠ではないかと思う。知らせる意図を持っているのならば、今の世界のように、争いばかりを誘発するような不完全な状態にはするべきではないだろう。はっきりとした意思表示をすべきだし、その過渡期を許容するというのであれば、その間の無神論者や解釈を間違った宗教者も救済されるべきだ。
だいたい、神の声を聞いたとするその主張は色々な宗教で見られるわけで、全てを総合してみれば全く矛盾しており、つまりは自分の願望・思考を「神の声」として読み込んでいるに過ぎない、と結論できる。まあ、人間の特異性は特別な設計の結果だ、と言われて、彼らを完全に論破し認めさせることは出来ないんだろう。こちらも全てを説明できるわけではない。
ただ、神はいるにしても、既存宗教には誤りが含まれており、それを基にした教義が生活を不当に規制するものとなっている現状においては、宗教組織に関わらないという選択には妥当性があるだろう。
その不都合を抱えてなお宗教組織に留まる人というのは、一つにはその事実を知らないか、または組織による規制を超えるメリットを感じているからだろう。それは「真理」の探究とは別次元のメリットだろうけど。
筆者も結局は聖書の読み込みの罠から抜けきれてはいないのだが、まあそれはさておいて、進化論を事実として分かりやすく説明し、創造論・ID論を論破してくれているのは、読んでいてかなり面白かった。