MBAコースでは教えない「創刊男」の仕事術
- 作者: くらたまなぶ
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2003/04
- メディア: 単行本
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・人に聞きまくる
・資料を読みまくる
・とにかく実践する
このプライベートでの修練が、いざ起業という時にがぜん役に立つ。「新商品」も「起業」も、「生まれて初めて」であることに変わりはない。
市場調査とは、昨日までの「人の行動」を数字で知ること。マーケティング調査とは、明日からの「人の気持ち」を言葉で知ること。市場調査によって過去の実績が把握できる。その数字をいじりながら仮説ができていく。それを確かめるためにも、あるいは闇雲に未来を予測するためにも、とにかく「人の気持ち」をたくさん集めなくてはならない。聞いて、聞いて、聞きまくらなくてはならない。
ヒアリングの仕方
人間は三つの層からできている。プロフィール(表皮)、体験層、気持ち(最奥部)。
ヒアリングは、心の最新奥部のマグマに向かって掘り進んでいく発掘作業である。突然「気持ち」は出てこない。まずは「したこと」から。話したいこと、熱中していることが分かれば、どんどんそこに話題を集中する。話したくてたまらないテーマっていうのは、既にその方の「思い」につながっている。こちらが聞いたのが体験であっても、答えは「熱い思い」の場合がある。関心が高いと思われる話題については、すかさず「〜した」行動の動機、理由、背景を聴く。「WHY」の鍵がピタッとあうと、「思い」が機関銃のように飛び出してくる。
結局、「カッコイイ大風呂敷と、地味な一歩」が揃っているかどうか。「カッコイイ大風呂敷」をどれだけ大きく広げることができたか。「地味な一歩」にどれだけ小さくたたみこむことができているか。二つを繋ぐのが「カタチ」である。ロマンから導き、そろばんで裏打ちした「カタチ」。そして、どうしても生み出したいという本人の熱意。やるのは自分しかいない。そんな強い情熱があれば、苦しい創業期も冗談で笑い飛ばしながらクリアできるだろう。
感想
多数の雑誌を創刊した人が、仕事の立ち上げ方・進め方について語った本。雑誌と製品では分野が違うのであまり参考にできる部分がないのではないかと思っていたが、いい意味で期待を裏切られた。
多くの点で、僕にも当てはめられそうな部分を見つけることができた。特に、ヒアリングの大切さと、ブレストの仕方について。「カタチ」から入るのではなく、「夢」から入る、って指摘は本当に考えさせられる。確かに、「カタチ」から入ってしまうと既に狭い枠に嵌ってしまい、発想が全然広がらない。結局いつも通りのつまらない結論で終わってしまう。「カタチ」とは、「夢」あってのもの。「夢」に最も合うように「カタチ」を選択する。
うちの部署はモノづくりをするってことに考えが凝り固まってしまっているから、本当、新たな視点を与えてもらったような気がする。絶対に取り入れていきたい。ヒアリングもやっぱり大切だよな。うちだけで考えたって良いものはできない。どこまでできるかは分からないけれど、身近なところからなるべく広く、「人の気持ち」を集めていきたい。