人は意外に合理的
- 作者: ティムハーフォード,遠藤真美
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2008/11/20
- メディア: 単行本
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これは民主主義社会が生み出す結果としては尋常ではなく、不合理なように見えるが、この明白なパラドックスはそれほど混乱をきたすものではない。個人の合理的な行動は、必ずしも社会の合理的な結果につながるわけではないのだ。
イギリスで産業革命が起こったのはイギリス人が優秀だったからではない。その発明は、経済的なインセンティブに反応した結果に過ぎない。一連の事実は、産業革命の重要な発明の多くが、イギリスの高い賃金、安い石炭に対して計画的かつ意図的に反応した結果であることを示している。ヨーロッパ大陸で紡績機の普及が進まなかった主な原因は、労働コストが低いことであって、イギリスの科学技術力や商才が際立って高かったからではなかった。
感想
ひとつ前に読んだ、「予想どおりに不合理」という本の逆のタイトル。僕としては一つの見方に凝り固まって目を曇らせてしまうのは一番やりたくないことだ。いつでもバランスを取って、客観的に物事を見ていきたい。だからこそ、この組み合わせで読むことが出来たのは結構面白かったかな。
でも、両方の本とも、お互いを打ち消しあうような反論を行なっているわけではない。結局、物事をどの方面から見るかの違いだけなんだ。人には合理的な面があり、不合理な面もある。一面だけを見て、それが物事の全てと思ってしまってはいけないのだ。あらゆる角度から検証して整合性を保つ。バランスを取る。この精神を全ての分野において発揮していきたい。
ちょっと固い本だったけど、この本も劣らず興味深い本だった。特に、後半部分の産業革命に至る歴史の変遷の部分は面白い。政治形態がその後の文明の行方を左右する。現在貧困にあえぐ途上国がなぜ途上国のままなのか、それも政治の腐敗と関係がある。一つの知識が色々な知識と融合していくこの感覚が堪らない。
もっともっと知識を取り入れて、それぞれの連結を果たしていきたい。人類の数とイノベーションの関係とかも面白かった。これも「銃・病原菌・鉄」に通じる部分があるなあ。あの本の下巻も早く読みたい。