予想どおりに不合理
予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
- 作者: ダンアリエリー,Dan Ariely,熊谷淳子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/11/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 31人 クリック: 417回
- この商品を含むブログ (152件) を見る
予測の効果
二つの料理のうち、説明が詳しいというだけで一方のほうが素晴らしいと予測してしまう。そして、実際にそうなる可能性もそれだけ高くなる。こうした材料は、目隠し味覚テストでは料理をおいしくできないかもしれない。しかし、あらかじめ知らされていれば、こうした材料が私たちの予測を変え、味覚に見事な影響を与えることができる。見せ方の効果を侮ってはいけない。料理学校で料理を芸術的に盛り付ける方法を学ぶことが、焼いたり揚げたりする方法を学ぶことと同じくらい重視されているのにはわけがある。テークアウトで買った料理も、発泡スチロールの容器から出して立派な皿に盛り付け、つまをあしらってみるといい。これだけで、料理が全く別物になる。招待客にもっと楽しんでもらいたいなら、いいワイングラスをそろえることだ。
言うまでもなく、予測は食べ物にかぎったことではない。人を映画に誘うとき、とても評判のいい映画だと言い添えれば、相手をいっそう楽しませることができる。これは、ブランドや製品の信用を築くのにも不可欠だ。つまるところ、マーケティングとはそういうものだ。情報を提供して、予測される喜びと、ひいては本当の喜びを高める。
感想
行動経済学に関する本。人はある場面では、合理的に見えて、実際には不合理に行動してしまうメカニズムを持っている。その要因を色々と解き明かしていく。かなり引き込まれた。確かに「予想通りに不合理」。これを知っているのと知らないのとでは大きな違いが生まれそうだ。
この部分に付け込んで悪巧みを考える人間もいるんだろうなあ。悪巧みとまでは言わなくても、こっちの思うように操作できる面はあるだろう。僕も人間の弱点をよく心に留め、意識して行動していきたいもんだ。相対的な基準ではなく絶対的な基準を持つ。この点に関しては、世間一般の平均よりはマシな物差しを持っているように感じる。
でもまだまだ毒されている部分はあるだろうから、気を付けないと。上ばっか見て比較して落ち込んだって全く意味がない。そんなの無駄すぎる。自分の意見に自信を持って、それを堂々と行使していきたいなあ。
逆に、アンカー機能ってのはよほど注意しなくちゃ。僕は効率を求めて一度下した判断をそのまま以降も流用してしまう傾向があるからな。最初が間違っていたら以後常に間違えることになってしまう。今僕が下している判断は本当に合っているか?毎回自問していては時間の無駄だろうけど、期間を定めてじっくりと振り返る機会を持たないといけないな。
行動経済学とか心理学とか、人の本質を探っていくのは結構楽しいもんだ。思ってもいなかった姿が見えてくる。今後もこのテーマは深めていきたい。