アホは神の望み
- 作者: 村上和雄
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2008/09/24
- メディア: ハードカバー
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第二の条件は、ムダを尊ぶ心です。出来る人ほどムダや非効率を嫌いますが、研究とはもともと壮大なムダの集積でもあります。その百のムダの中から一つの有益な発見が生まれてくる。勘違いや間違いから生まれた偶然を、「こんなのは本筋ではない」とムダ扱いしてしまったら、その成果も見逃してしまいます。だから、ムダをムダとして排除してしまわず、失敗しても、諦めずに繰り返しやり続ける忍耐力や粘り強さが必要になってきます。
三番目は、その失敗や間違いから「何か」を見出し、掴み取る力です。このとき大切になってくるのは勘です。失敗事例の中に何かを嗅ぎ取る直感やひらめきです。
自分だけの得を図るのは得への最短距離のようにみえて、実はそうではないのです。それで得る得は浅く、小さいものです。自分の得ばかりを図っている人を端で見ていると、そういう人はどこか人間が小さく見えるはずです。自分が、自分がと自己主張ばかりする人も同じ。自分のためにしか行動しない人間は結局、可能性を自分で限定してしまうことが多く、得るものも小さくなってしまうのです。
その点、自分のためより人のためを優先する人は遠回りはしますが、可能性を確実に広げることができ、その結果、得るものも大きい。ですから、ほんとうに自分の得を思う人は自分のことよりもまず他人の役に立つことを考えるものです。他人の得を図り、その結果、自分にめぐってきた得こそが遠回りした分、いっそう大きな得であることを思慮深い人は知っているのです。
感想
科学者でありながらサムシング・グレートの存在を信じている、ちょっと宗教家な面も持った人の本。結局哲学書というか、この人の生き方・考え方を述べた本か。
宗教家に偏見を持っているわけではないのだけど、いまいち、この本に深く入り込めなかったかな。笑いの効果、祈りの効果などちゃんと科学的に立証しているのは面白かったんだけどね。効率を求めてしまう僕の心が、回り道とか愚直とかを推奨する文章に反発した部分もあるんだろう。
まあ、僕の考え方にもまだまだ熟成させなければいけないところがあるからね。今後どう変わって行くかは分からないし。