ローマ亡き後の地中海世界 上
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/12/20
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 17回
- この商品を含むブログ (52件) を見る
塩野さんによる、西ローマ滅亡後からルネサンスまでを扱った、「ローマ人の物語」の後日談のような本。これでローマの勃興から近代まで網羅的に理解できるようになるわけだ。近代から現代については他の本で補完した部分もあるし、穴だらけではあるけど一応歴史地図は完成したことになるのかな。
今までこの期間を扱った本を読んだことがなかったこともあるし、また塩野さんが書いた本ということもあって興味深く読むことができた。とはいえ、やっぱりローマが元気だった頃のように、読んでいて楽しい時代じゃないね。
蛮族に荒らされて西ローマが滅亡したあとは、強固な統治は確立されず、海賊にやられ放題。町を襲撃されて財産を奪われ、拉致られて奴隷として使役され。ビザンチン帝国が名目上統治していることになっているけれど民衆を保護することはせず、税金だけは搾り取る。
中世は暗黒時代と言われるけれど、本当にそうなんだな。やられ放題なのに大した対策も立てられず、その生活が延々続くのは辛いだろうなあ。だからこそ宗教にのめり込むことになるんだけど、きっとその信仰心を利用して聖職者に搾り取られてたんだろうな。
かつてのローマ時代、あれほどの栄華を誇った民族なのに、なんでそれを再興するだけの知恵や団結力が生まれないんだろう。一つ狂えばもう組み立てることはできないのか。絶望した人々が結集して秩序を作り出し、それを周りに広げていくことは不可能だったんだろうか。まあ、今の時代を見ていても、問題が溢れているのに何にも解決できていないからな。どうしようもなかったんだろう。そんな中でも希望を持って幸福に生きられた人はどれくらいいたんだろう。僕もこの時代において、本当に満足できる生き方をしたいな。