40歳アリリタ(早期退職)達成者のブログ

メインは書評(自分語り)。色々と経験する中で自分の生き方が固まり、2014/11/02の記事を集大成に方針確定。2020年3月末、40歳にてアリリタ達成!

銃・病原菌・鉄−一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎−下

銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

われわれは著名な例に惑わされ、「必要は発明の母」という錯覚に陥っている。ところが実際の発明の多くは、人間の好奇心の産物であって、何か特定のものを作り出そうとして生み出されたわけではない。発明をどのように応用するかは、発明がなされたあとに考え出されている。また、一般大衆が発明の必要性を実感できるのは、それがかなり長い間使い込まれてからのことである。しかも、数ある発明の中には、当初の目的とはまったく別の用途で使用されるようになったものもある。飛行機や自動車をはじめとする、近代の主要な発明の多くはこの手の発明である。多くの場合、「必要は発明の母」ではなく、「発明は必要の母」なのである。

われわれの考察の結論は、次の二つである。技術は、非凡な天才がいたおかげで突如出現するものではなく、累積的に進歩し完成するものである。また技術は、必要に応じて発明されるのではなく、発明された後に用途が見出されることが多い。この二つの結論が、記録が残っていない古代の技術に、もっとよく当てはまることは確かである。


感想
中盤は上巻と同じような内容が続いてかなりダレたんだけど、発明について、また肥沃三日月地帯、中国がなぜ衰退したかの説明部分なんかはかなり興味深かった。やっぱり読んで良かった本だった。人間が、自分の才能にではなく、その環境にいかに依存した存在であるかを強く認識させられた。もちろん、個々の時代ごとに見れば能力がある人がいい暮らしができるんだろうけど、もっと広い目で俯瞰して見た時、人は環境に逆らっては物事を成し得ないんだなあ。なんかある種の達観が得られた。こういう知識をどこかで披露してみたいなあ。